犬の腎臓をケアするフードについて徹底解説|おすすめのフードも
犬の腎臓病をケアするフードを徹底解説|おすすめのフードも
腎臓病の犬には、腎機能に負担をかける栄養素を抑え、健康を維持する栄養素やエネルギーがバランスよく配合されたフードが必要です。
このページでは、以下の腎臓病フードについて詳しく解説します。
目次
犬の腎臓病フードとは?
犬の腎臓病のフードとは、慢性腎臓病の犬に与えるための療法食です。
腎臓病の療法食は、腎臓の健康維持を目的としてタンパク質、リン、ナトリウムなどの量を低減しながら、必要なタンパク質やエネルギーが摂れるように栄養素が配合されています。
腎臓病フードは一般的なドッグフードと異なり、獣医師の診断・指導にもとづいて与える食事療法です。
メーカーによって「腎臓サポートフード」「腎臓ケアフード」などとも呼ばれます。
療法食には腎臓病フードの他にも心臓・膵臓・皮膚・消化器、尿路結石症や食物アレルギーのサポートなどさまざまなタイプがあり、症状に合わせて栄養バランスの量が調整されています。
なぜ腎臓病フードが必要なの?
慢性腎臓病の犬に適切な食事療法をおこなうことで、病気の進行を遅らせる効果があり、食事療法を行わなかった慢性腎臓病の犬よりも寿命が長くなると報告されています。※1
腎臓には、血液中に溜まった老廃物や水分などを尿と一緒に排出する働きがあります。
犬の慢性腎臓病は、腎臓を構成するネフロンと呼ばれる組織が加齢とともに傷つき、これらの働きが低下する病気です。
老廃物を尿として排出できなくなるため体内に毒素がたまり、尿毒症などの症状を引き起こします。
慢性腎臓病の症状はネフロンが半分以上機能しなくなるまで現れません。
そのため、早期に慢性腎臓病を発見し、早期に食事療法を開始することが、愛犬のQOL向上につながります。
犬の腎臓病フードの種類、ドライとウェットの違い
犬・猫などのペットフードは一般社団法人ペットフード協会により、以下のように区分されています。
犬の腎臓病フード(療法食)のドライフードやウエット缶の区分も同様です。
区分 | 定義 | 分類 |
ドライ | 製品水分10%程度以下のフード。 加熱発泡処理された固形状のものがほとんどです。 水分含有量が13%以上では、カビが生えたりするので12%以下に保つ必要があり、安全性に配慮して多くは水分含有量10%以下となっています。 |
ドライ |
ソフトドライ | 製品水分25~35%程度のフードで、加熱発泡処理されています。 しっとりさを保つために湿潤調整剤を使用します。 |
ソフトドライ |
セミモイスト | 製品水分25~35%のフードで、押し出し機などで製造され、発泡していないものです。 しっとりさを保つために湿潤調整剤を使用します。 |
セミモイスト |
ウェット缶詰 | 水分75%程度で、品質保持のために殺菌工程を経て、缶詰に充填されたフード。 | ウェット |
ウェットその他 | 水分75%程度で、品質保持のために殺菌工程を経て、アルミトレーやレトルトパウチに充填されたフード。 | ウェット |
ドライフード
ドライフードとは、水分含有量が10%程度以下のフードです。
加熱発泡処理された固形状のフードで、袋に入っているものがほとんどです。
ドライフードは栄養素を効率的に摂取できるため、腎臓病フードへ切り替える際はドライフードからあたえてみましょう。
まずは少量の小袋から試してみることをおすすめします。
ウエットフード
ウエットフードとは、水分含有量75%程度のフードです。
品質保持のために殺菌工程を経て、缶詰やアルミトレー、レトルトパウチなどに充填されています。
ウエットフードは嗜好性が高く、腎臓病が進行して食欲が低下している犬の食いつきが良くなる傾向があります。
ドライフードを食べる量が少なくなってきたときなど、獣医師と相談しながらウエットフードを与えてみましょう。
ただし、ドライフードを食べないからといって急にウエットフードに切り替えるのではなく、ドライフードを温めたり、柔らかくしたりなど、愛犬の食欲をそそる工夫をしてみましょう。
原材料の種類もさまざま
腎臓病フードは、各メーカーによりさまざまな原材料が使用されています。
主原料となる肉類は、鶏肉(チキン、ターキーなど)、豚肉、牛肉、馬肉、カンガルー肉、魚肉(サーモンなど)など、さまざまなタイプがあります。
穀類や豆類、野菜類などの原材料も含まれているのが一般的ですが、穀物を含んでいないグレインフリーやグルテンフリーのアレルギー対応タイプもあります。
フードの袋や缶詰に原材料が記載されているので確認してみましょう。
腎臓病療法食の原材料を選ぶ際は、獣医師と相談しながら愛犬の好みやアレルギーを考慮して選んでみましょう。
腎臓病フードの選び方、5つのポイント
犬の腎臓病フード(療法食)はさまざまな種類があるため、どのフードを選べばよいのか迷ってしまう方も多いかと思います。
そこで、腎臓病に最適なフードを選ぶための5つのポイントをご紹介します。
1. 厳選された食材
腎臓病の療法食は、健康を維持できる栄養バランスとあわせて、フードに使われている原材料も重要です。
食材の安全性や新鮮さは愛犬のQOLに影響するため、信頼できる食材を使用したフードを選びましょう。
原材料の産地、原産国など、以下の項目が明確に表示されているかチェックしてみましょう。
- 新鮮な肉や穀類、野菜を使用している
- 天然の食材や、無農薬・低農薬で育てられた野菜、穀類を使用している
- 原産国が明確に表示されている
…など。
腎臓病に良い食材については、こちらの記事で詳しく解説しています。
2. 着色料・香料が無添加
多くのドッグフードには、ペットフード安全法によって健康面に影響がないと定められた範囲内で、着色料や香料などの添加物が使用されています。
しかし、より安全性の高い食事を愛犬にあたえたい場合は、着色料・香料など無添加のフードがおすすめです。
3. 小粒で食べやすい
腎臓病の進行により腎機能が低下すると、尿毒症を発症します。
尿毒症になると口内炎や胃炎などの症状があらわれ、口の中に痛みや気持ち悪さを感じるようになります。
そのようなときは、大粒よりも小粒のフードをあたえると愛犬が食べやすくなります。
腎臓病の犬が食べやすいよう、粒の大きさまでこだわったフードを選びましょう。
4. 品質管理
愛犬に安心・安全な食事を与えるため、品質管理が徹底されている腎臓病フードを選びましょう。
海外から輸入されたフードは、保存料や着色料などが使用されているもの、製造されて時間が経過して新鮮でないものもあります。
また、専門機関で成分検査や放射線検査などを受けて安全性が確保されているかもチェックしましょう。
5. 愛犬がよろこぶ美味しさ
腎臓病フードを選ぶうえで欠かせないのが「美味しさ」です。
フードの美味しさは、愛犬のQOLに影響します。
そのため、腎臓病の進行とともに食事や運動が不自由になってきた愛犬にこそ、美味しいフードを与えることが重要です。
腎臓病フードの美味しさは商品の見た目やパッケージからはわかりません。
そのため、メーカーの商品ページなどをチェックして、腎臓病の犬が美味しく食べられるよう配慮、開発されているか確認してみましょう。
また、フードの販売実績やレビュー・口コミなどをチェックして、多くの飼い主が評価しているかも参考になります。
おすすめの腎臓病フード
では、どんな腎臓病フードがお薦めなのでしょうか?
腎臓を健康に維持できるよう、リン、タンパク質を調整
腎機能の負担となるリンやタンパク質を抑え、健康維持に必要な量の栄養素やエネルギーを配合しているもの。
美味しくて食いつきがいい
腎臓病の犬がよろこぶ食材や配合を熟知した獣医師が開発し、食いつきが違う、食いつきが良いと評判の腎臓病フードを選びましょう。
消化吸収しやすい
原材料を消化吸収しやすいように工夫がされているもの。
食べやすい小粒タイプ
小型犬の場合、余り粒が大きいと食べづらいので小粒タイプで食べやすい工夫がされていると良いです。
健康を維持する栄養素を配合
愛犬の健康維持のために、天然型必須アミノ酸であるL-メチオニン、ピュアオイル等を配合しているもの。
厳選された原材料
鮮度の高い鹿肉、牛肉の生肉を使用。穀類、野菜なども安全で新鮮な食材を厳選しています。
徹底した品質管理
徹底した品質管理体制の工場で製造されているもの。
添加物不使用
保存料や着色料、香料、乳化剤などの添加物を使用していないもの。
専門機関で各種検査を実施
専門機関にて成分検査や放射能検査等を実施しているもの。
販売実績と評価
販売実績があり、愛犬がよろこぶとの実際に利用している飼い主さんからの評価が多く集まっているもの。
腎臓病フードを与えるときのポイント
腎臓病フードは通常のドッグフードと味が異なるため、急にフードを切り替えると食欲不振になることがあります。
そのため、腎臓病フードへの切り替えは1週間〜1か月程度の時間をかけて、少しずつ変更していくのがポイントです。
また、慢性腎臓病はステージが進行すると食欲が低下していきます。
愛犬の食欲が低下し、腎臓病フードを食べない時は、以下のような食欲をそそる工夫をしてみましょう。
- フードを温めて匂いを増す
- ドライフードに水分を加えて、ウエットフードのように柔らかくする
- 食事を少量ずつ数回に分けてあげる
腎臓病の犬がフードを食べない時について、こちらの記事で詳しく解説しています。
腎臓病フード(療法食)への切り替えについて困った時は、以下の記事も参考にしてみてください。
腎臓病フードは獣医師の診断・指導が必要
腎臓病フード(療法食)は、獣医師の診断・指導のもとで適切量を与える必要があります。
腎臓病を発症する前から、予防の目的で子犬の頃から腎臓病療法食を与えたがる飼い主がいますが、健康な犬に療法食を与えると必要な栄養素を十分に摂取できないおそれがあります。
必ず獣医師の指導にもとづいて与えるようにしましょう。
腎臓病フードは手作りできる?
犬の腎臓病フードを手作りしたい飼い主の方もいると思いますが、タンパク質やリン、ナトリウムなどの栄養素を計算し、腎臓病に最適な配合のフードを作るのは極めて困難です。
肉類などのタンパク質、多くの食材に含まれるリンやカリウムなどの栄養素は、腎臓病の犬が摂りすぎると腎機能に負担をかけてしまいます。
腎臓病に最適な栄養・カロリーを配合した腎臓病フード(療法食)を活用しましょう。
また、生肉を与える飼い主の方もいますが、生肉に潜む有害細菌や寄生虫が食中毒や肝炎を引き起こすこともあります。
腎臓病の犬に限らず、健康な犬にも与えないようにしましょう。
健康をサポートする関連ドッグフード
腎臓の療法食の他にも、心臓・膵臓・皮膚・消化器、尿路結石症や食物アレルギーのサポートなど、さまざまなタイプがあります。
また、腎臓病ではないシニア犬・老犬の健康をサポートするフードなどもあります。
愛犬の症状や健康状態にあわせて、獣医師と相談しながら最適なフードを選びましょう。
愛犬のために腎臓に良いフードを選ぼう
腎臓病の犬には、毎日の食事管理が重要です。
しかし、腎臓病が進行すると食欲が低下し、腎臓病フードを食べない時もあります。
腎臓病フードにはドライフードやウエットフード、原材料にもさまざまな種類があるので、食べやすいフードを選び、愛犬の腎臓をサポートしてあげましょう。