犬が腎臓病の食事を食べない原因と5つの対処法

犬 腎臓病 食事

犬が腎臓病の食事を食べない原因と5つの対処法

犬は慢性腎臓病が進むに連れて、食欲低下などの症状が現れてきます。また、療法食は通常のドッグフードと味が異なるため、食いつきが悪くなることがあります。

愛犬が腎臓病(腎不全)の食事を食べない時は、

  1. 療法食を始めるときは少しずつ切り替える
  2. フードを温める
  3. フードを柔らかくする
  4. 食事を数回に分けてあたえる
  5. フードをトッピングする

など、食欲をそそるような工夫をしてみましょう。以下の項目で詳しく解説していきます。

犬が腎臓病の食事を食べない時の対処法

犬 腎臓病

1. 療法食を始めるときは少しずつ切り替える

腎臓病用の療法食を始めるときは、1か月程度の時間をかけて少しずつ切り替えていくのがポイントです。
腎臓病用の療法食は、通常のドッグフードと味が異なります。そのため、急にフードを切り替えると愛犬がとまどい、食事を食べなくなってしまうことがあります。
愛犬が普段食べているドッグフードに腎臓病用の療法食を徐々に混ぜ、少しずつ慣らしていきましょう。

 

また、腎臓病療法食は少量でも必要な栄養をしっかりと摂取できるよう、カロリーが高めに作られています。そのため、一般的なドッグフードと比べると、療法食を与える量は少なくなります
療法食の袋などに記載されている食事量に基づいて、適切な量を与えるようにしましょう。

療法食への切り替えについて困った時は、以下の記事も参考にしてみてください。

 

2. フードを温める

フードを温めて香りを増すことで、食欲をそそる効果が期待できます

犬は嗅覚が発達しており、匂いで食べ物を判断します。食事は温めることでフードの香りが増すため、犬の食欲を高める効果があります。

温める際は、電子レンジやお湯などで常温から人肌程度になるよう調整します。温めすぎると愛犬がやけどしてしまう場合もあるので、飼い主が指などで触って温度を確認してから与えるようにしましょう。

 

3. フードを柔らかくする

腎臓病が進行して食欲が低下すると、食物を噛むのがつらくなることがあります。そのため、腎臓病療法食がドライフードの場合は水分を加えて柔らかくするのも効果的です。

ドライフードに水分を加えることで不足しがちな水分を補給でき、脱水症状を防ぐ効果も期待できます。

 ドライフードに水分を加えるときには、ぬるま湯を注ぐと香りが増して嗜好性が高まります。ただし、熱湯を注ぐとドッグフードの栄養素が壊れてしまうため、必ずぬるま湯を使いましょう。

 

4. 食事を数回に分けてあげる

腎臓病の食事を食べない場合、食事を数回にわけて少量ずつあたえることで、食事量が増加することもあります。

腎臓病により口内炎や胃炎を発症すると、一度に食べられる量が少なくなります。そのため、一回の食事量を減らして、その分、食事の回数を増やすことで、合計食事量の増加を期待できます。

 

5. フードにトッピングをする

愛犬が療法食をあまり食べないときは、好きな食物をトッピングしてみる方法もあります。

ただし、腎臓病の犬がタンパク質やリンなどを摂取しすぎると、腎機能に負担がかかり腎臓病の進行を早めてしまうおそれがあります。

トッピングする前に獣医師と相談して、あたえてよい食物と量を確認しましょう。

 

腎臓病の犬が食事を食べなくなる理由

犬 腎臓病

尿毒症による食欲低下

腎臓病が進行して腎機能が低下すると、体内の尿素や老廃物をおしっこと一緒に排泄できなくなり、尿毒症を発症します。
尿毒症になると口内炎や胃炎などの症状があらわれ、痛みや気持ち悪さなどから食欲が低下してしまいます
また、尿毒症により味覚や嗅覚が変化して、食欲不振になることもあります。

 

フードの味の変化による食欲低下

腎臓病療法食へ切り替えにより、フードの味の変化が気になり食事量が低下することもあります
療法食を始めるときは少しずつ切り替える」でご紹介した、1か月程度の時間をかけて少しずつ切り替えていく方法を試してみましょう。

 

貧血・脱水などの諸症状による食欲低下

腎臓病は、上記で説明した症状の他にも貧血、脱水、低カリウム血症など、さまざまな症状を引き起こします。これらの諸症状も食欲不振の原因となります。

 

犬の腎臓病の療法食とは?療法食が重要な理由

犬 腎臓病

犬の腎臓病の療法食とは、腎臓の負担となる栄養素(タンパク質・リン・カリウム・ナトリウムなど)を適量に抑え、必須脂肪酸(オメガ3系不飽和脂肪酸)やエネルギーの量を調整したフードです

 腎臓の療法食の他にも、心臓膵臓皮膚消化器、尿路結石症や食物アレルギーのサポートなどさまざまな療法食があり、症状に合わせて栄養バランスの量が調整されています。

 犬の慢性腎臓病は、一度進行すると腎機能は回復できません。そのため、腎臓病を早期発見して、早期に食事療法を開始することが重要です。

慢性腎臓病の犬に適切な食事療法をおこなうことで、病気の進行を遅らせる効果があり、食事療法を行わなかった慢性腎臓病の犬よりも寿命が長くなると報告されています。(※1)

※1:Clinical evaluation of dietary modification for treatment of spontaneous chronic renal failure in dogs

 ただし、療法食は獣医師の診断・指導に基づいた食事療法として与える必要があります飼い主の中には、腎臓病を発症する前や子犬のときから予防目的で療法食を与えたがる方がいますが、健康な犬に療法食を与えると必要な栄養素を充分に摂取できないおそれがあるので控えましょう。

 

療法食ではない食べ物をあげてもいいの?

腎臓病の犬の食事は、腎臓に負担をかけるさまざまな栄養素を適切に抑えることが重要です。そのため、腎臓病の療法食に切り替えたあとは、従来のドッグフードやおやつなどをあげることは控えましょう。

また、腎臓病で控えるべきリン・ナトリウムなどの栄養素は多くの食品に含まれているため、手作りでご飯を用意するのは極めて困難です。 

適切な食事療法をおこなわないと、腎臓病の進行を早めてしまうおそれがあります。そのため、腎臓病の犬の食事には、最適な栄養・カロリーを配合した療法食を活用しましょう。

 

腎臓の働きと腎臓病について

腎臓は、血液中の老廃物や余分な水分を尿として排泄するなど、体の活動を支える重要な働きを担っています。

腎臓病とは、腎機能が何らかのダメージにより低下し、腎臓本来の働きができなくなる病気です
そのため、老廃物などを排泄できず体内に毒素がたまり、尿毒症などさまざまな症状を引き起こします。

犬の腎臓病は、原因や症状により慢性腎臓病と急性腎臓病の2つに分かれます。

  • 慢性腎臓病:腎機能の低下が3ヶ月以上持続する病気
  • 急性腎臓病:数時間〜数日の間に急激な腎機能の低下が起こる病気

 

犬の腎臓病の原因

犬の腎臓病は、慢性と急性でそれぞれ原因が異なります。
犬の腎臓病の原因について

慢性腎臓病の原因

  • 老化にともなう腎機能の低下
  • 腎臓の病気や怪我などの後遺症による腎機能の低下

急性腎臓病の原因

  • 腎毒性のある物の誤食、感染症、急性腎炎などによる急激な腎機能障害
  • 膀胱破裂や結石などによる尿路障害

 

犬の慢性腎臓病の症状

犬の慢性腎臓病の症状は、病気の進行状況により変化します
慢性腎臓病の進行状況は、血液検査によるクレアチニン(CRE)濃度、対称性ジメチルアルギニン(SDMA)濃度によって、
4つの進行ステージに分類されます。

ステージ 症状
初期・早期〜中期の状況では、腎臓病の症状はほぼ現れません。
中期では、食欲不振、嘔吐や下痢、散歩に行きたがらないなどの症状が現れます。
末期になると、元気がなくなりぐったりした状態が長くなります。また、食事をほとんど食べられなくなります。

 

あわせて読みたい⇒ 犬の腎臓病の症状について

 

犬の腎臓病の治療法

加齢などで傷ついた腎機能は回復できません。
そのため、犬の慢性腎臓病は、獣医師の診断・指導のもと、食事療法などで腎臓病の進行を遅らせることが重要です。

あわせて読みたい⇒ 犬の腎臓病の食事療法について

なお、急性腎臓病の場合、点滴や投薬などの適切な治療を動物病院で受けると、腎機能が回復する可能性もあります。
急にぐったりする、脱水状態などの急性腎臓病の症状がある場合は、一刻も早く獣医師による診察が必要です。

 

愛犬に良い食事と、食べやすくなる工夫を

犬の腎臓病は療法食をもとにした食事管理が重要ですが、腎臓病が進行すると尿毒症などを発症して食欲が低下します。愛犬が食事を食べやすくなるよう、今回ご紹介した方法を活用して愛犬の食事をサポートしましょう。


 

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獣医師・宿南章獣医師

投稿者プロフィール
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
   
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
   
【所属団体】 一般社団法人ペットフード協会 会員

ペットフード公正取引協議会 会員

The Royal Society for the Protection of Birds 会員

日本盲導犬協会 会員

野生動物救護獣医師協会 正会員
   
【プロフィール】 1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。

日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。

   
【研修・研究内容】 1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習

1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習

1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)

1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)

1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)

2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修
   
【論文】 Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004
   
【著書】 「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。

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