犬の腎臓病の食事で肉を食べてもいい?腎臓病に良い食事について解説
犬の腎臓病の食事に肉を食べていいのか解説します。
また、犬の腎臓病と食事の関係、腎臓病の食事療法についても以下で詳しく紹介します。
目次
腎臓の犬はお肉を食べていいの?
慢性腎臓病の犬は、タンパク質を含む肉などの食材の摂取量を制限する必要があります。
慢性腎臓病の犬は腎機能が低下しているため、肉などに含まれるタンパク質を代謝するさいに出る尿素を十分に排出できなくなります。
尿素が体内に溜まると尿毒症を引き起こし、生命に危険を及ぼします。
そのため、タンパク質を多く含む肉類は、食べる量に注意が必要です。
腎臓病の犬が肉を食べてはいけない理由は?
腎臓病のワンちゃんがお肉を食べてはいけない主な理由としては以下の二つの事があげられます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
タンパク質の含有量が多い
鶏肉や豚肉、牛肉などの肉類には、タンパク質が多く含まれています。タンパク質は腎臓で代謝され、最終的に尿素として尿とともに体外へ排泄されます。
しかし、腎臓病により腎機能が低下すると、残された腎機能のみでタンパク質を代謝するため、腎臓に負担がかかります。
また、タンパク質を代謝する際につくられる尿素を十分に排泄できなくなり、尿素が体内に蓄積されて尿毒症などを引き起こします。
尿毒症は進行すると、命の危険にさらされます。
そのため、腎臓病の犬はタンパク質を多く含む肉類の食べる量を制限する必要があります。
リンの含有量が多い
肉類にはリンも多く含まれます。慢性腎病により腎機能が低下した犬は、リンを効率的に排出できなくなります。
排出できないリンが体内に溜まることで高リン血症を引き起こし、腎機能をさらに低下させることで死亡リスクが増加するとされています。
そのため、リン含有量が多い肉は摂取量を制限する必要があります。
犬の腎臓病と食事の関係
犬の腎臓病とは?
犬の腎臓病とは、腎機能が低下し、腎臓本来の働きができなくなる病気です。
腎臓は血液中に含まれる老廃物を尿として排出するなど、体の活動を支える重要な働きをしています。
犬の腎臓病は、腎臓が何らかのダメージを受けたことにより、本来の働きができなくなる病気です。
犬の腎臓病は、原因や症状により慢性と急性の2つに分かれます。
- 慢性腎臓病:腎機能の低下が3カ月以上持続する病気
- 急性腎臓病:数時間〜数日の間に急激な腎機能の低下が起こる病気
上記2つのうち、多くの犬が発症するのが慢性腎臓病です。
犬の慢性腎臓病は、加齢などにより腎機能が低下することが原因で発症します。
犬の慢性腎臓病は、血液検査によるクレアチニン(CRE)濃度、対称性ジメチルアルギニン(SDMA)濃度によって4つのステージに分類され、ステージの進行状況によって症状が変化します。
慢性腎臓病の症状は、主に以下のようなものが現れます。
- 食欲が落ちて痩せる
- 散歩に行きたがらない
- 寝ている時間が増える
…など
犬の腎臓病は食事管理で進行を遅らせることが重要
腎機能は一度壊れると回復できません。そのため、犬の慢性腎臓病は食事管理などで病気の進行を遅らせるための治療が必要です。
慢性腎臓病の食事管理では、腎臓の負担となる栄養素(タンパク質・リン・カリウム・ナトリウム)を適量に抑え、腎臓に良いとされるオメガ3系不飽和脂肪酸を含んだ食事療法が用いられます。
犬の慢性腎臓病は、適切な食事療法を行うことで病気の進行を遅らせる効果があり、食事療法を行わなかった慢性腎臓病の犬のよりも寿命が長くなると報告されています。※1
犬の腎臓病は早期発見が重要
犬の慢性腎臓病は早期に発見し、早期に食事療法を開始することが重要です。
犬の慢性腎臓病は、腎機能が25%程度低下するまで症状が現れません。
そのため、腎臓病の症状が現れた時には、すでに症状が進行していることがほとんどです。
犬の慢性腎臓病は、6歳以上で発症率が増加する傾向にあります。
腎臓病の早期発見のために、愛犬がシニア期(6~7歳)になったら3カ月に1回程度の尿検査や血液検査などの定期検査を受けましょう。
犬の腎臓病の食事は手作りできる?
腎臓病の食事療法では、肉に含まれるタンパク質などの腎臓に負担をかける栄養素を調整する必要があります。
また、特定の栄養素を制限しながら、健康を維持するために十分なカロリーを摂取しなければなりません。
これらの栄養素を正確に計量するには専門知識が求められるため、手作りで腎臓病の食事を用意するのは極めて困難です。
手作りレシピなどで紹介されるフードは鶏肉や豚肉などの肉類が多いため、タンパク質も多く含まれています。
さらに、肉類にはリンも多く含まれるため、腎臓病の進行を早めるおそれがあります。
また、食事で生肉を与える飼い主の方もいるようですが、生肉には有害な細菌や寄生虫が潜んでいるため、食中毒や肝炎を引き起こす可能性もあります。
腎臓病の犬だけでなく、健康な犬にも生肉を与えないようにしましょう。
犬の腎臓病の食事には療法食がおすすめ
手作りの食事では腎臓に良い栄養素をコントロールするのが困難なため、犬の腎臓病の食事には療法食がおすすめです。
犬の腎臓病療法食とは、腎臓の負担となる栄養成分・ミネラルなどの量を調整したフードです。
一般的なドッグフードとは異なり、獣医師の診断・指導に基づき、食事療法として与えます。
犬の腎臓病の食事を与えるポイント
腎臓病の療法食へ急に切り替えると、愛犬が食事をあまり食べなくなる可能性があります。
腎臓病療法食への切り替えは、1週間?1カ月程度の時間をかけて少しずつ変更していくようにしましょう。
普段食べているドッグフードに腎臓病用の療法食を徐々に混ぜて慣らしていくことがポイントです。
また、腎臓病が進行すると体内に必要な水分量を確保できず、脱水症状になる危険性があります。
いつでも新鮮な水を飲めるように飲水を複数設置し、愛犬が水分を十分に摂れる環境を用意しましょう。
犬が腎臓病の食事を食べないときは?
慢性腎臓病はステージが進行すると、食欲低下などの症状が現れます。
また、腎臓病療法食は通常のドッグフードと味が異なるため、食いつきが悪くなることもあります。
そのため、愛犬が腎臓病の療法食を食べないときは、以下のような工夫で愛犬の食欲をそそるようにしてあげましょう。
- フードを温める
- フードに水分を加えて柔らかくする
- 食事を数回に分けてあげる
犬の腎臓病の食事には肉類などのタンパク質を抑えた食事がおすすめ
慢性腎臓病の犬には、タンパク質を多く含む肉類の摂取量を制限し、腎臓に負担のない食事を与える必要があります。
しかし、肉類などに含まれるタンパク質やその他の栄養素を、腎臓病に最適な配合で手作りするのは困難です。
腎臓病に最適な栄養素が配合された療法食で、愛犬の腎臓をケアしましょう。