犬の腎臓病をすべて解説|食事、症状、原因、早期発見と対策

犬腎臓病

犬の腎臓病をすべて解説|食事、症状、原因、早期発見と対策

犬の腎臓病について徹底解説します。
腎臓病の原因や症状、早期発見のポイントなど、慢性腎臓病と急性腎臓病にわけて以下で詳しく紹介します。

犬の腎臓病とは?慢性腎臓病と急性腎臓病について

犬腎臓病
犬の腎臓病とは、腎機能が低下し、腎臓本来の働きができなくなる病気です

以前は「腎不全」とも呼ばれていましたが、現在は「腎臓病」という用語が主に使用されています。

犬の腎臓病は、老廃物を尿として排出できなくなるため、体内に毒素がたまり尿毒症などの症状が現れます。
一度進行すると腎機能は回復できず、末期の状態になると生命維持のための治療が必要です。

犬の腎臓病は、原因や症状により、慢性と急性の2つに分かれます。

  1. 慢性腎臓病…腎機能の低下が3ヶ月以上持続する病気
  2. 急性腎臓病…数時間〜数日の間に急激な腎機能の低下が起こる病気

 

犬の腎臓の働きについて

犬や猫の腎臓は、数十万個の「ネフロン」という組織で構成されています。
ネフロンは、血液中の老廃物をろ過し、尿を生成するなど、以下のような体の活動を支える重要な働きを担っています。

  • 血液をろ過して老廃物
  • 体液量やミネラルのバランス調節
  • 血圧を調整するホルモンの分泌
  • 血液(赤血球)を作るホルモンの調節
  • ビタミンDを活性化し、カルシウムの吸収を助ける

…など。

 

犬の慢性腎臓病とは?

犬腎臓病 慢性腎臓病
犬の慢性腎臓病とは、腎機能の低下が3ヶ月以上持続する病気です

犬の慢性腎臓病の原因

犬の慢性腎臓病の原因は、主に加齢などでネフロンが傷つき、腎機能が低下することによるものです
そのため、シニア犬・高齢犬(6歳以上)になると、発症率が高くなる傾向があります。

 

犬の慢性腎臓病の症状と進行ステージ

犬の慢性腎臓病は、主に以下のような症状が現れます。

  • 食欲が落ちる、痩せる
  • 口内炎や胃炎により口からアンモニア臭がするなど口臭が臭くなる
  • 毛並みがパサパサする、毛づやが悪くなる
  • 嘔吐や下痢をおこす
  • 散歩に行きたがらない

この他にも、おしっこの量が増減する、水を飲む量が増えるなどの症状が出ることもあります。

犬の慢性腎臓病の症状は、病気の進行状況により変化します。
慢性腎臓病の進行状況は、血液検査によるクレアチニン(CRE)濃度、対称性ジメチルアルギニン(SDMA)濃度によって4つ進行のステージに分類されます※。

進行ステージごとの慢性腎臓病の主な症状は以下のとおりです。
(※IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)の分類に基づく)

【ステージ1】 犬の慢性腎臓病の初期・早期の症状
  • ほぼ無症状。
  • 血液検査でも異常値は見つからないことが多い。
  • 尿検査で尿比重の低下や蛋白尿、腎臓の形状の異常が認められることがある。
【ステージ2】 犬の慢性腎臓病の初期・早期~中期の症状
  • ほとんどの犬が元気で、目立った症状は現れない。
  • 散歩に行きたがらない、散歩の量が減ることも。
  • クレアチニン(CRE)の数値が1.4以上になることが多い。
  • 血液検査で慢性腎臓病の早期発見が可能。
【ステージ3】 犬の慢性腎臓病の中期の症状
  • 食欲不振により体重が減少するなどの症状が現れる。
  • 毛並みがパサパサする、毛づやが悪くなる。
  • 静かにしている時間が増える。
  • 嘔吐や下痢をおこす。
  • 血液中に尿素がたまり尿毒症を発症する。
  • 口内炎や胃炎により口からアンモニア臭がするなど、口臭が臭くなる。
【ステージ4】 犬の慢性腎臓病の末期の症状
  • ぐったりして、ほとんどの時間を寝て過ごす。
  • 食事をほとんど食べない。
  • 口からアンモニア臭が強くなる。
  • 呼びかけに反応しないことが多くなる。
  • 尿毒症が進行し、生命維持のため点滴や透析治療、腎移植などの治療が必要。

 

犬の慢性腎臓病の早期発見ポイント

犬の慢性腎臓病は、ネフロンが半分以上機能しなくなるまで症状が現れません。
症状が現れたときには、病状がすでに進行していることが多くあります。

また、慢性腎臓病は一度進行すると回復できません。
そのため、病気を早期発見して、早期に食事療法を開始することが、愛犬のQOLを上げることにつながります。

慢性腎臓病はシニア期(犬の年齢が5〜6歳)以上で発症率が増加します。
そのため、慢性腎臓病を早期発見するためには、以下のポイントが重要です。

  • シニア期から年に1~2回の定期検診に通い、触診や血液検査、尿検査などおこなう。
  • 気になる症状があれば、早めに動物病院で受診する。

 

犬の慢性腎臓病の治療法

腎機能は一度傷つくと回復できません。
そのため、犬の慢性腎臓病を完治することはできず、食事療法などで病気の進行を遅らせるための治療法が用いられます。

慢性腎臓病の食事療法では、腎臓の負担となるタンパク質、リン、ナトリウムなどの栄養素を制限し、ミネラルなどの量を調整した腎臓病用療法食を与えます。

療法食は一般的なドッグフードとは異なり、獣医師の診断・指導に基づいた食事療法として与える必要があります

 

犬の急性腎臓病とは?

犬腎臓病 急性腎臓病
犬の急性腎臓病とは、数時間〜数日の間に急激な腎機能の低下が起こる病気です

犬の急性腎臓病の原因

犬の急性腎臓病の主な原因には、以下のものがあります。

  • 腎毒性のある物の誤食、感染症、急性腎炎などによる急激な腎機能障害
  • 結石、腫瘍、尿道閉塞などによる尿路障害
  • 膀胱破裂などで、尿が排泄できない
  • 出血、脱水、血栓、循環血液量低下による腎血流量の低下

… など

 

犬の急性腎臓病の症状

犬の急性腎臓病は、発症から数時間〜数日で以下のような症状が現れます。

  • 急にぐったりする
  • 嘔吐・下痢
  • 呼吸が荒い
  • 意識の低下
  • 尿量の減少・排尿がなくなる
  • 脱水症状

急性腎臓病は治療が遅れると命に危険を及ぼします。
これらの症状が現れたら、すぐに獣医師の診察を受けましょう。

 

犬の急性腎臓病の早期発見ポイント

犬の急性腎臓病は発症から早い段階で症状がでやすいのが特徴です。
散歩や家の中などで何かを食べてしまい、その後ぐったりした場合は、急性腎臓病の疑いがあります。
さらに、嘔吐や下痢をする、排尿がないなどの症状があれば急性腎臓病の可能性が高くなります。

繰り返しになりますが、急性腎臓病は一刻も早い治療が必要です。
これらの症状が現れたら、すぐに動物病院を受診しましょう

 

犬の急性腎臓病の治療法

犬の急性腎臓病の治療法には、点滴や投薬、透析などがあります。
急性腎臓病はこれらの適切な治療を受けることで、腎機能が回復する可能性もあります。

急性腎臓病で腎臓にダメージを負った犬は、慢性腎臓病になりやすいといわれています。
急性腎臓病の治療後も定期的に検査を受け、注意深く愛犬をケアしてあげましょう。

 

犬の腎臓病の食事療法と食べても良い食べ物

犬腎臓病
犬の慢性腎臓病は一度進行すると回復はできません。
そのため、早期に食事療法を開始し、慢性腎臓病の進行を遅らせることが重要です

 

犬の腎臓病に良い食べ物とは?

腎臓病の犬には、腎機能の負担となる栄養素を制限する必要があります
腎臓病の犬には以下の食べ物が良いとされています。

  • タンパク質を含む食材の制限
  • ナトリウム含有量が少ない食材
  • リン含有量が少ない食材
  • オメガ3系不飽和脂肪酸を含む食材

 

犬の腎臓病用の療法食がおすすめ

慢性腎臓病の犬の食事は、「犬の腎臓に良い食べ物とは?」で紹介したさまざまな栄養素の調整が必要です。
また、効率的にエネルギーを補給できるよう、カロリー計算なども必要になります。

そのため、腎臓病の犬の食事を、手作りで毎食用意するのは極めて困難です。
腎臓病の犬に最適な栄養・カロリーを配合した療法食を活用しましょう

 

犬が腎臓病の食事を食べない時の対処法

慢性腎臓病はステージが進行すると、食欲低下などの症状が現れます。
そのため、愛犬が腎臓病の食事を食べないときは、以下のような食欲をそそる工夫が必要です。

  • フードを温める
  • フードに水分を加えて柔らかくする
  • 食事を数回に分けてあげる

 

腎臓病療法食で愛犬のケアを

犬の腎臓病には早めの食事療法が大切です。
腎臓病の早期発見のためにも、愛犬がシニア期を迎えたら定期検査を行いましょう。

腎臓病療法食は、腎臓病の犬に最適な栄養素を調整した食事です。
療法食を活用しながら、愛犬のQOLを高めましょう。


 

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獣医師・宿南章獣医師

投稿者プロフィール
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
   
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
   
【所属団体】 一般社団法人ペットフード協会 会員

ペットフード公正取引協議会 会員

The Royal Society for the Protection of Birds 会員

日本盲導犬協会 会員

野生動物救護獣医師協会 正会員
   
【プロフィール】 1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。

日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。

   
【研修・研究内容】 1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習

1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習

1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)

1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)

1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)

2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修
   
【論文】 Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004
   
【著書】 「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。

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