
ウィペット
犬種の特徴
グレイ・ハウンドのミニタイプともいえるウィペットは、ほっそりと引き締まった流線型の曲線が美しく、スラリと伸びた四肢とスマートな体格をしています。背は低いのですが、後方がアーチを描いているので、とても力強いです。
また、しなやかな上半身のラインと、ダブルサスペクションギャロップ(前脚と後脚を揃えて動かし、背中を使って走る歩様)ができるパワフルな後脚と臀部が特徴的です。
究極のスプリンターとして、一気に最高速度にもっていける加速力と、すばやく体をひねって方向転換をする俊敏さを兼ね備え、その能力は他の犬たちを卓越しています。
おとなしく穏やかな性格で、頭もよく、正統派のサイトハウンドの中でも、もっとも指示をよく聞く従順な犬種です。
また愛情深く落ち着きがあります。優雅で上品な容姿で、無駄に鳴いたり、吠えたりせず、子供に対しても大変穏やかなので、家庭犬として理想的です。
この犬の歴史
中型サイズのサイトハウンド(視覚獣猟犬)であるウィペットは、グレイ・ハウンドの血を受け継いだ犬種です。18世紀頃、害獣駆除に適した小回りの利く犬種を育てるようになりました。こうして生まれたのが「ミニチュアグレイハウンド」であるウィペットです。ネズミ捕りに長けていたテリア系と交配させ、すばやく獲物を追うことができる能力を組み入れました。
その頃ちょうど産業革命が勃発し、地方の労働者たちが工業化された地域に移り住むようになりました。それに伴って各地でこの犬のギャンブルが盛んになり、ウィペットに対する改良にも拍車がかかるようになりました。
こういった工業地帯で、人々は、犬にぼろ布を追いかけさせるレースを作り出しました。鉱山労働者の間で人気を博していき、俊足のウィペットたちまち人気になり「貧しい人たちの競走馬」と呼ばれるようになりました。
この小型のレース犬はその後、家庭でも飼われるようになります。レースの結果によっては、家族は犬に対して大きな誇りを抱くだけでなく、予定外の収入や食べ物が得られるというメリットもありました。そういう意味で価値の高かったウィペットは、家族の一員として何不自由なく大切に扱われたのです。
商業的なレースとしてはグレイハウンドのレースが一般的ですが、ウィペットのレースも、アマチュアスポーツとして根強い人気を誇っています。
1888年に犬種として認定されて以来、ウィペットはその美しさで評価されるようになり、イタリアン・グレイハウンドと交配されて、さらにその外観に磨きをかけられました。
その後、しなやかな優雅さと上品な社交性を持ったウィペットは徐々に注目を集め、熱心な愛好家も増えていきました。近年、ドッグレースには、グレードハウンドが扱われるようになり、ウィペットはレースではほとんど活躍していません。
現在、家庭犬としても非常に評価の高い犬種となっています。
かかりやすい病気
気をつけたい病気 | 特にありません。 |
---|