
イングリッシュ・セッター
犬種の特徴
おとなしくマナーが良いため、他のスポーティング・ドックよりも華やかさがあり、犬の中の貴族と呼ばれるにふさわしいのがイングリッシュ・セッターです。また、スピードを落とさずに長時間走ることができるので、優れた運動能力を持つスポーツ選手のような狩猟犬です。
他人に対してわずかに距離をおき、注意深く近づくような慎重な態度をとるところもありますが、静かで、甘えん坊です。環境にはすぐ慣れ他の犬たちとも仲良くできます。主人には、忠実で、愛情豊かな家庭犬になります。
絹のように滑らかで長いコートに覆われた容姿から、貴族的な優雅さがただよいます。体に沿って流れるようにはえた長毛で全身が覆われ、耳と、後肢の下のほうの後ろ部分と腿の下のほうに、羽のような飾り毛があり、白い地色には、はっきりとした色の小さな斑点があったり、断片的な模様があり、これがイングリッシュ・セッターの特徴となっています。
この犬種にはラヴェラック・セッターとルーエリン・セッターの2種類がありますが、ラヴェラック・セッターのほうが、ルーエリン・セッターよりやや体が大きく、飾り毛が多く、鼻口部が長くなっています。また、獲物のありかを示す時にはほぼ水平に尻尾を振ります。
ルーエリン・セッターのほうがやや体が小さめですが、狩猟能力を重視して作られたため、走る能力に長けています。また、被毛はやや少なめですが、大きな模様が見られるのが特徴的です。獲物の居場所を示す時には、尻尾をまっすぐ上に上げる傾向が見られます。
この犬の歴史
猟銃が普及する前、猟師たちは網を使って鳥を捕まえていましたが、その頃から猟師たちは犬に、獲物を見張るように訓練をしていました。そういう訓練を受けていた当時のセッターたちが、現在のセッターの先駆けとなっています。
天性の猟犬といわれるだけあって、勇敢で体も非常に頑健。猟場では、ハンターが銃を撃つまでじっと背を待つ低くして待っていて、指示がでると獲物を探し出します。
イングリッシュ・セッターの起源は14世紀まで遡り、セッターのなかでももっとも古い歴史を持つ犬種といわれています。
おそらくこの祖先犬は、スパニッシュ・ポインターやスプリンガー・スパニエル、または大型のウォーター・スパニエルなどではないかと考えられています。
1825年から35年以上かけて、エドワード・ラヴェラックという人物が、穏やかな気質のイングリッシュ・セッターの繁殖に熱心に取り組み、その結果、彼が繁殖を手がけた犬たちが、現在のイングリッシュ・セッターの基盤となりました。
もうひとり、パーセル・ルーエリンという人物が、この犬種の歴史に影響を与えた繁殖家として登場します。彼はラヴェラックから原種となるイングリッシュ・ セッターを手に入れ、彼独特の論理に従って狩猟能力を高める繁殖を実践し始めました。ルーエリンは、このセッターを、まったく関係のない犬種と交配させ、 狩猟能力に長けたセッターを作り出すことに成功します。その犬種の多くはアメリカへ輸出されていくことになります。
こうして、ラヴェラックが作り出したイングリッシュ・セッター(ラヴェラック・セッター)と、ルーエリンが作り出したイングリッシュ・セッター(ルーエリ ン・セッター)の2種類が誕生し、前者はショーで活躍の場を広げ、後者は狩猟の現場で活躍するといった、同じイングリッシュ・セッターを基礎としながらも 別々の道を歩むことになります。
アメリカでは、この2種類のセッターはいずれもが、現在も安定した人気を獲得しています。
かかりやすい病気
気をつけたい病気 | 聴覚障害、股関節形成不全、肘関節形成不全などです。 予防として、股関節検査、肘関節検査、聴覚検査、眼科検査をしておくといいでしょう。 |
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