イングリッシュ・セッター

イングリシュセッター

写真:Elf at English Wikipedia

イングリッシュ・セッター

犬種の特徴

おとなしくマナーが良いため、他のスポーティング・ドックよりも華やかさがあり、犬の中の貴族と呼ばれるにふさわしいのがイングリッシュ・セッターです。また、スピードを落とさずに長時間走ることができるので、優れた運動能力を持つスポーツ選手のような狩猟犬です。

他人に対してわずかに距離をおき、注意深く近づくような慎重な態度をとるところもありますが、静かで、甘えん坊です。環境にはすぐ慣れ他の犬たちとも仲良くできます。主人には、忠実で、愛情豊かな家庭犬になります。

絹のように滑らかで長いコートに覆われた容姿から、貴族的な優雅さがただよいます。体に沿って流れるようにはえた長毛で全身が覆われ、耳と、後肢の下のほうの後ろ部分と腿の下のほうに、羽のような飾り毛があり、白い地色には、はっきりとした色の小さな斑点があったり、断片的な模様があり、これがイングリッシュ・セッターの特徴となっています。

この犬種にはラヴェラック・セッターとルーエリン・セッターの2種類がありますが、ラヴェラック・セッターのほうが、ルーエリン・セッターよりやや体が大きく、飾り毛が多く、鼻口部が長くなっています。また、獲物のありかを示す時にはほぼ水平に尻尾を振ります。

ルーエリン・セッターのほうがやや体が小さめですが、狩猟能力を重視して作られたため、走る能力に長けています。また、被毛はやや少なめですが、大きな模様が見られるのが特徴的です。獲物の居場所を示す時には、尻尾をまっすぐ上に上げる傾向が見られます。

この犬の歴史

猟銃が普及する前、猟師たちは網を使って鳥を捕まえていましたが、その頃から猟師たちは犬に、獲物を見張るように訓練をしていました。そういう訓練を受けていた当時のセッターたちが、現在のセッターの先駆けとなっています。
天性の猟犬といわれるだけあって、勇敢で体も非常に頑健。猟場では、ハンターが銃を撃つまでじっと背を待つ低くして待っていて、指示がでると獲物を探し出します。

イングリッシュ・セッターの起源は14世紀まで遡り、セッターのなかでももっとも古い歴史を持つ犬種といわれています。
おそらくこの祖先犬は、スパニッシュ・ポインターやスプリンガー・スパニエル、または大型のウォーター・スパニエルなどではないかと考えられています。

1825年から35年以上かけて、エドワード・ラヴェラックという人物が、穏やかな気質のイングリッシュ・セッターの繁殖に熱心に取り組み、その結果、彼が繁殖を手がけた犬たちが、現在のイングリッシュ・セッターの基盤となりました。

もうひとり、パーセル・ルーエリンという人物が、この犬種の歴史に影響を与えた繁殖家として登場します。彼はラヴェラックから原種となるイングリッシュ・ セッターを手に入れ、彼独特の論理に従って狩猟能力を高める繁殖を実践し始めました。ルーエリンは、このセッターを、まったく関係のない犬種と交配させ、 狩猟能力に長けたセッターを作り出すことに成功します。その犬種の多くはアメリカへ輸出されていくことになります。

こうして、ラヴェラックが作り出したイングリッシュ・セッター(ラヴェラック・セッター)と、ルーエリンが作り出したイングリッシュ・セッター(ルーエリ ン・セッター)の2種類が誕生し、前者はショーで活躍の場を広げ、後者は狩猟の現場で活躍するといった、同じイングリッシュ・セッターを基礎としながらも 別々の道を歩むことになります。

アメリカでは、この2種類のセッターはいずれもが、現在も安定した人気を獲得しています。

かかりやすい病気

気をつけたい病気 聴覚障害、股関節形成不全、肘関節形成不全などです。
予防として、股関節検査、肘関節検査、聴覚検査、眼科検査をしておくといいでしょう。
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獣医師・宿南章獣医師

投稿者プロフィール
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
   
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
   
【所属団体】 The Royal Society for the Protection of Birds 会員

日本盲導犬協会 会員

野生動物救護獣医師協会 正会員
   
【プロフィール】 1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。

日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。

   
【研修・研究内容】 1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習

1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習

1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)

1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)

1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)

2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修
   
【論文】 Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004
   
【著書】 「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。

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