
チベタン・スパニエル
犬種の特徴
チベタン・スパニエルは、体高より体長のほうがやや長い体型をしており、頭部は、ドーム型でバランスがよくとれていて、耳は垂れて頬にかかり、羽根毛で覆われてます。前脚はやや弧を描いており、足先はウサギに似ています。
二層構造の被毛で覆われ、絹のように柔らかい上毛は、体に沿ってはえています。適度な長さの上毛よりもさらに長い飾り毛が、耳の上や、前脚の裏側、足の指の間などにはえており、これがこの犬種の特徴となっています。尻尾には、羽毛のようにふさふさしている飾り毛が生えています。
チベタン・スパニエルは独立心が旺盛で、大胆かつ頑固な面もありますが、家族との時間を大切にする犬種です。飼い主には愛情深く忠実ですが、見知らぬものには警戒心を示すため、番犬にもなってくれます。
この犬の歴史
チベタン・スパニエルの歴史はチベットの仏教信仰と密接に関わり合っています。チベタン・スパニエルはチベットのラマ教寺院で修行僧らによって飼育されて来た1,000年を超える歴史をもつ犬で、スパニエルと呼ばれていますが、猟犬として使用される事はありません。
仏教では獅子が重要なシンボルとして尊ばれており、「犬のように忠実に釈迦に奉仕すべし」という教えがラマ教の僧侶たちに浸透していました。彼らに忠実に奉仕し、かつ獅子のような外観をした犬が当然のごとく僧侶たちに大切にされ、神聖な獅子の化身として尊ばれていました。
中国の人々もまた、もうひとつの獅子犬ともいえるペキニーズを神聖視していました。隣接の国々は、自分たちの地域で生息していた犬たちを貢物としてお互いに贈り合い、それがこの犬種の質の向上に貢献することになります。こうして、チベットの犬と中国の犬の異種交配が発展していきました。
農村地帯でもこれらの犬種の繁殖が行われていましたが、もっとも盛んに行われたのが僧院内でした。その結果、非常に小型化された犬が誕生することになり、これがチベタン・スパニエルとなりました。
チベタン・スパニエルは、ラマ教の寺院で、経文を信者に配る「仕事」をしており、「祈祷犬」と呼ばれていました。小さな踏み車を動かすように訓練され、この踏み車の車輪には小さな羊皮紙がはいっており、回転するたびに祈りを捧げる人に一枚ずつ授けられていました。
また、チベタン・スパニエルは、番犬としても有能で、寺院は山岳部の集落が良く見渡せる場所に建てられいたため、その外壁の最も高い位置にチベタン・スパニエルが座り「見張り」をしていました。
1800年代の終わり頃にチベタン・スパニエルは初めてイギリスに持ち込まれましたが、特に目立った繁殖協定は結ばれませんでした。1920年代になって初めて、グリーグ夫妻が何頭かのチベタン・スパニエルを手に入れたことから、本格的な繁殖が始まります。グリーグ夫妻は、その後繁殖活動を進め、この犬を有名にしたことで知られています。
彼らが繁殖した犬たちのうち、「キー(Skyid)」という名前の1頭だけが第二次世界大戦の戦禍のなかを生き残り、その子孫たちが、現在のこの犬種の血統にも見受けられます。
チベタン・スパニエルが大々的に西欧へと持ち込まれたのは1940年頃で、そのうちの何頭かは、インド北東部のシッキム州に暮らしていたイギリス人夫婦によってイギリスへと持ち込まれました。
1960年代になってようやくチベタン・スパニエルはアメリカに渡り、1984年、犬種として正式に認定されることになりました。
この神聖な犬は、徐々に人々の心を惹きつけるようになり、今では多くの愛好家たちから敬意を持って大切に扱われています。
かかりやすい病気
気をつけたい病気 | 特にありません。 予防として、膝関節検査、眼科検査しておくことをおすすめします。 |
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