イビザン・ハウンド
犬種の特徴
イビザン・ハウンドは、鹿のような優雅な外観と表情をかもし出しており、きびきびとした格調高い身のこなしは上質な美しさをさらに強調しています。しなやかな体を思う存分使って、ダブルサスペンションギャロップ(前脚と後脚をそろえて動かし、背中を使って走る歩様)で壮快に駆けることができます。また、ずば抜けた跳躍力を持ち、直立した体勢から一気にかなりの高さまで跳びあがることができます。
体高よりも体長がわずかに長い体型をし、大きな耳以外はとりたてて誇張すべき特徴はありませんが、軽快かつしなやかに歩く姿が特徴的です。
優雅な雰囲気を漂わせているイビザン・ハウンドは、生まれつきの狩猟本能を持っています。
鋭い聴覚と嗅覚を総動員させて、獲物の居場所を探し出し、動くものとあればどんなものでも追いかけていくといった、まさに狩りをするために生まれてきたような犬種です。
被毛には短毛のスムースコートタイプと、2.5〜4.5cmほどの長毛のワイヤーコートタイプがあり、両方とも硬い毛質となっています。
この犬の歴史
イビザン・ハウンドは、エジプトの墓に描かれている犬や、エジプト神話に登場するアヌビス神(死者の審判者。頭はジャッカルで体は人間の姿をしている)に非常に似ていることから、世界でもっとも古くから飼われていた犬とされるファラオ・ハウンドと同じ歴史を持つと考えられています。
古くは、フェニキア人の商人たちがこの犬種をイビザ島(地中海に浮かぶバレアレス諸島の一つ)に持ち込み、その後この島だけに、隔離された状態で生存してきました。イビザ島はこれまでに、古くはエジプト人やカルデア人、そして、ローマ人、ヴァンダル人、アラブ人たちなどによって統治され、近年ではスペイン人に統治されている島です。この島に隣接した島で生まれたハンニバル(カルタゴの将軍:紀元前247〜183年)は、アルプスを超えてイタリアに侵入する際に、イビザン・ハウンドを護衛犬として連れていったといい伝えられています。
外界からの影響がほとんどないイビザ島で、この犬種は他の犬種と交わることなく、長い間純粋な血を受け継いでいきました。
イビザ島には、イビザン・ハウンドのなかでもウサギを狩る能力がもっとも優れている犬だけを選んで育て、繁殖させるという慣習があったため、こういった厳しい生存競争から、純血種はもちろん、より丈夫で優れたイビザン・ハウンドが後世に残っていくことになりました。
イビザン・ハウンドが初めてアメリカに渡ったのは1950年代で、その原始的な外観が注目を集めますが、実際にペットとしてこの犬種を飼おうとする人たちは、あまりいなかったようです。
その後、徐々にではありますが人気を集めるようになり、1979年にはAKCから犬種として認定されることになりましたが、現在でも、依然として“珍種”の枠を越えられないままとなっています。
かかりやすい病気
気をつけたい病気 | 特にありません |
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