イングリッシュ・コッカー・スパニエル
犬種の特徴
イングリッシュ・コッカー・スパニエルは、狩りの場で鳥などの獲物を探し出して飛び立たせたり、回収したりといった役割をこなすために作られた犬種です。
そのため、やぶの間をすいすいと潜り抜けられる程度に小さく、大型の獲物でも、運べる程度に大きくといった体型をしています。
獲物をくわえて運びやすいように鼻口部が幅広くなっており、体高が体長よりわずかに高くなっています。また、活力のある力強い足取りで歩きます。
陽気で好奇心が強く、飼い主に従順で献身的に尽くす性質を持っており、人なつっこく社交的で、常に飼い主やその家族と一緒にいることを好みます。
適度な長さの被毛は絹のように柔らかく、まっすぐか、少々ウェーブがかかっています。ところどころについている飾り毛は狩りの妨げにならない程度の長さで、体を守る役割を担っています。また、優しいながらも威厳を保った表情が特徴的です。
この犬の歴史
犬種のなかでも、もっとも大きなグループとされるスパニエル系は、もっとも特殊化していったグループともいわれています。
なかでもイングリッシュ・コッカー・スパニエルは、陸地の猟で使われていたランド・スパニエルから枝分かれしていった犬種と考えられており、ランド・スパニエルには、鳥などを驚かせて飛び立たせる役割を担った大型のスパニエルと、ヤマシギを狩る役割を担った小型のスパニエルとに分かれていましたが、この2種類のタイプは一腹から誕生していたこともあり、もともとは同じ犬種によるバリエーションの違いとみなされていました。
しかし、1892年には別々の犬種として区別されるようになり、約11kg以下の小型サイズの犬たちが、コッカー・スパニエルと定められました。
その後、この2種類のスパニエルは、遺伝子的にも類似しており、どちらも優れた狩りの能力を受け継いでいるということで、1901年には大きさでの分類が排除されることになります。
コッカー・スパニエルはイギリスで高い人気を誇っていましたが、アメリカの繁殖家たちは、この犬種をイギリスの愛好家たちが反対するような方向に変えようとしました。
1936年まではイギリス産とアメリカ産のコッカー・スパニエルは同犬種とみなされていましたが、アメリカで「イングリッシュ・コッカー・スパニエル・クラブ」が設立されたと同時に、イギリス産のイングリッシュ・コッカー・スパニエルは異種とみなされ、さらにこのクラブはアメリカ産とイギリス産の交配を好まなかったので、1946年にはイングリッシュ・コッカー・スパニエルは正式に別の犬種と定められることになります。
犬種が分けられてからアメリカン・コッカー・スパニエルは、イングリッシュ・コッカー・スパニエルに勝るとも劣らない人気を獲得しましたが、それはアメリカのみの評価でした。その他の国々では、イングリッシュ・コッカー・スパニエルの方が人気が上回っており、「コッカー・スパニエル」といえばこの犬種が最初に思い浮かぶ人々が多くなっています。
かかりやすい病気
気をつけたい病気 | 進行性網膜萎縮症 予防として、聴覚検査(パーティーカラーのみ)をしておくことをおすすめします。 |
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