アラスカン・マラミュート

アラスカンマラミュート

写真:SCMW

アラスカン・マラミュート

犬種の特徴

アラスカン・マラミュートは、レースで速く走るというより、重い荷物を引くために改良された北欧タイプのたくましい犬種です。また、体高よりも体長がやや長い形をしており、がっしりした骨格とコンパクトな体型を持つ、忍耐強い犬種といえます。

バランスがよく安定した歩様で、疲れを知らない軽快な足取りをしています。

きめの粗い上毛と、羊毛のような油っぽい、密集した分厚い下毛の二層の被毛で覆われ、厳しい外界の環境から影響を受けないよう、体を保護しています。
冬の厳しい寒さには強いのですが、夏の高温多湿には、非常に厳しいため注意が必要です。
お手入れは軽くブラッシング程度でよいのですが、換毛期には入念に!

オオカミのような鋭い目を持ってはいますが、とても友好的で穏やかな性格で、飼い主に忠実で忍耐強く、子供とも仲良くできるので家庭犬としても上手くやっていけるでしょう。

この犬の歴史

スピッツ系の犬種のほとんどがそうであるように、同じスピッツ系のアラスカン・マラミュートも北極地方で発展し、逆境ともいえる気候の中で発展してきました。その起源はよくわかっていませんが、アラスカ北西部の海岸地方にあるノートン・サウンドで暮らしていたマラミュート族に飼育されていたという文書が残っています。

これらの犬たちは、アザラシやホッキョクグマなど大きな獲物を狩猟する際には猟犬として活躍し、しとめた獲物を引っぱって帰るときには牽引き犬としての仕事もしていました。この犬種は、動きがすばやいよりは、大きくて力強く、小型犬であればかなりの頭数がいないとできないような仕事を1頭でこなしていました。

アラスカン・マラミュートは、イヌイット部族にはなくてはならない生活の一部として重宝されていました。犬たちは、家族の一員として大切に扱われていましたが、愛玩犬として甘やかされていたわけではありません。この犬種でなければ、極北の厳しい環境の下で生き残っていくことはかなり難しかったと思われます。

18世紀になると、海外からアラスカに探検家が訪れるようになります。彼らは、厳しい寒さの中で精力的に活動する犬たちに感動し、飼い主であるイヌイット部族の、犬たちへの深い愛情にとても感銘を受け、その後、1896年に金が発見されて以来、アラスカに人々がどっと押し寄せるようになります。やがて、このような人々の娯楽として、犬を使った荷引きレースなどが開催されるようになります。

もともとアラスカにいた在来犬種の犬たちは、同じ犬種同士や、海外からの入植者たちと一緒にやってきた犬たちと異種交配されることになりました。さらに、アメリカのゴールドラッシュ時代には、より速く走る犬を作るために、またはただ単に多くの犬を供給するためにさまざまな交配が行われました。

その結果、純粋なアラスカン・マラミュートは絶滅の危機に瀕することになります。
1920年頃、ニューイングランド・ドッグレースの愛好家が、数頭のすばらしいアラスカン・マラミュートを見つけ出し、伝統的なマラミュートを繁殖し始めまたところ、たちまちこの犬種の評判は広がり、1933年には、リチャード・バード提督の南極探検の旅をサポートする犬の中に、何頭かのアラスカン・マラミュートが選ばれることになります。

第二次世界大戦中、アラスカン・マラミュートたちは再び、作業をこなす犬として、荷物の牽引き犬や家畜を集める牧畜犬、または探索救助犬として、欠かせない存在でした。

1935年にはAKCに認められ、現在は堂々とした姿を誇るショードッグとして、または忠実なペットとして、新しい役割を持つ犬種になりつつあります。

かかりやすい病気

気をつけたい病気 股関節形成不全・白内障
予防として、股関節検査・眼科検査検査をしておくことをおすすめします。
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獣医師・宿南章獣医師

投稿者プロフィール
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
   
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
   
【所属団体】 The Royal Society for the Protection of Birds 会員

日本盲導犬協会 会員

野生動物救護獣医師協会 正会員
   
【プロフィール】 1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。

日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。

   
【研修・研究内容】 1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習

1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習

1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)

1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)

1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)

2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修
   
【論文】 Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004
   
【著書】 「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。

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