
犬の腎不全の初期症状とは?原因や治療法・予防法など解説
犬の腎不全は、早期に発見して適切に対処することが大切な病気です。
本記事では、犬の腎不全の初期症状をはじめ、その原因や診断方法、治療法、さらに予防法についても詳しく解説します。
愛犬の健康を守るために、ぜひご参考にしてください。
犬の腎不全とは?
犬の腎不全とは、腎臓の機能が低下し、体内の老廃物や余分な水分を適切に排出できなくなる状態を指します。腎臓は、血液をろ過して毒素を取り除く重要な役割を果たしています。
しかし、腎不全が進行すると、この機能が著しく損なわれ、犬の健康に重大な影響を及ぼすことがあります。腎不全は、急性と慢性の二つの形態があり、それぞれ原因や症状が異なるため、適切な治療法も異なります。
急性腎不全は突然発症するのが特徴です。逆に、慢性腎不全は徐々に進行します。どちらの場合も、早期の診断と治療が重要です。
急性腎不全と慢性腎不全の違い
急性腎不全と慢性腎不全の違いは発症のタイミングと進行の速度にあります。急性腎不全は突然発症し、数日から数週間で急激に悪化します。これに対し、慢性腎不全は数ヶ月から数年にわたって徐々に進行するのです。
犬の急性腎不全の初期症状
犬の急性腎不全の初期症状は、通常、突然かつ急速に進行するため、速やかな対応が求められます。以下は、犬が急性腎不全を発症している可能性を示す初期症状です:
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食欲不振:
- 急に食事をとらなくなるのが一般的な兆候です。
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嘔吐:
- 腎機能の急激な低下により、体内に毒素が蓄積され、嘔吐が引き起こされることがあります。
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無気力:
- 元気がなくなり、普段の活動に対する興味を失います。
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下痢:
- 消化器系の不調も見られることがあり、時には下痢を伴うことがあります。
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多飲多尿または少尿〜無尿:
- 腎機能の急激な変化により、尿の量が増加することもあれば、逆に減少することもあります。特に無尿は腎機能がほとんど機能していない重大な状態を示しています。
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脱水症状:
- 皮膚の弾力性が失われ、ひっぱった皮膚がすぐに戻らないなどの脱水症状が見られることがあります。
これらの症状が現れた場合は、急性腎不全が進行する前に迅速に獣医師の診察を受けることが重要です。急性腎不全は、適切な治療を速やかに行うことで改善が見込まれる場合があります。
犬の急性腎不全の原因
犬の急性腎不全の診断
犬の急性腎不全の診断は、症状の観察、詳細な病歴の確認、そして複数の診断手法を組み合わせて行われます。以下はその診断方法です:
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臨床症状の評価:
- 獣医師は食欲不振、嘔吐、無気力、多飲多尿などの症状を評価します。これらの情報は病態の理解に役立ちます。
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血液検査:
- 血中尿素窒素(BUN)とクレアチニンのレベルを測定し、腎機能の低下を確認します。これらの値が高い場合、腎不全が疑われます。
- 電解質のバランス(ナトリウム、カリウムなど)や、酸塩基状態の評価も重要です。
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尿検査:
- 尿比重の測定を通じて腎臓の濃縮能力を評価します。急性腎不全では尿比重が適切に上がらないことが一般的です。
- 尿中のタンパク質、グルコース、白血球、赤血球の検査も行われます。
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超音波検査:
- 腎臓のサイズ、形状、内部構造の変化を詳しく観察します。腎臓の血流を評価するためのドップラー検査も含まれることがあります。
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X線検査:
- 腎臓や膀胱の異常、尿路の閉塞がないかなどをチェックします。
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オーナーへの問診:
- 獣医師は脱水、薬物の使用、毒物の接触など、急性腎不全を引き起こす可能性のある環境や行動についての情報を収集します。
これらの検査結果をもとに、獣医師は急性腎不全の診断を下し、適切な治療計画を立てます。急性腎不全は迅速な対応が必要なため、早期にこれらの検査を行うことが重要です。
犬の急性腎不全の治療法
犬の急性腎不全の予防
犬の急性腎不全の予防は、リスク要因を管理し、早期に問題を特定することに焦点を当てます。ここでは、犬の急性腎不全を予防するための具体的なアプローチをいくつか紹介します:
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水分補給の確保:
- 犬が常に新鮮な水を自由に飲めるようにしてください。特に暑い日や運動後は、脱水を防ぐために十分な水を提供することが重要です。
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定期的な健康チェック:
- 定期的に獣医師による健康診断を受けさせ、血液検査や尿検査を通じて腎機能の異常がないか確認します。早期発見が予防につながります。
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適切な食事管理:
- 高品質のドッグフードを選び、腎臓に負担をかける食材や不適切な食事を避けます。高タンパクや高リンの食事は腎臓に負担をかけるため、適切な栄養バランスを保つことが大切です。
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薬剤の管理:
- 獣医師の指示に従い、腎毒性のある薬剤やヒト用の薬剤を犬に与えないように注意します。獣医師と相談して、必要な薬だけを適切な用量で使用しましょう。
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環境毒素を避ける:
- 重金属や毒性の高い化学物質、車のアンチフリーズ液など、腎毒性のある物質から犬を守るために、環境を安全に保ちます。
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適切な運動:
- 犬が適切な運動を行うことで、全体的な健康を維持し、肥満を防ぎます。肥満は腎臓病のリスクを高めることがあります。
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ストレス管理:
- 犬がストレスを感じすぎないようにすることも重要です。ストレスは体の様々なシステムに負担をかけ、腎臓に影響を与える可能性があります。
これらの予防策を実施することで、犬の急性腎不全のリスクを減らし、健康を維持する手助けになります。
犬の慢性腎不全の初期症状
犬の慢性腎不全の初期段階では、症状は非常に微妙であり、見逃されがちです。しかし、早期に認識することが病気の管理と進行の遅延には非常に重要です。
初期の慢性腎不全に見られる症状には以下のものがあります:
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多飲多尿:
- 犬が普段よりもはるかに多くの水を飲むようになり、その結果、尿量も増加します。これは腎臓が濾過機能を果たせず、体内の余分な水分を処理できなくなるためです。
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食欲不振:
- 慢性腎不全が進むと、犬は食事に対する関心を失い始めることがあります。これは体内の毒素が蓄積するために起こります。
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体重減少:
- 食欲不振によって体重が減少し、全体的な体調不良が見られるようになります。
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嘔吐:
- 体内に毒素が蓄積すると、犬は嘔吐することがあります。これは腎不全の一般的な症状です。
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無気力:
- 活力がなくなり、普段の活動に興味を示さなくなることがあります。これも毒素蓄積の結果として見られます。
これらの症状が見られた場合、獣医師による診断が必要です。定期的な血液検査と尿検査を行うことで、慢性腎不全の早期発見に繋がり、適切な治療と管理が可能となります。
犬の慢性腎不全の原因
犬の慢性腎不全(慢性腎臓病)は、多くの原因によって発生し、時間とともに腎臓の機能が徐々に失われていきます。以下は、犬の慢性腎不全の一般的な原因です:
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老化による自然な機能低下:
- 犬が年をとるにつれて、腎臓の細胞が自然に劣化し、機能が低下することがあります。
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遺伝的要因:
- 特定の犬種は遺伝的に腎不全のリスクが高いとされています。例えば、シャーペイ、サモエド、ブルテリア、ドーベルマンなどがあります。
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病気や感染症:
- レプトスピラ症やライム病のような感染症が腎臓に損傷を与え、慢性的な問題につながることがあります。
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長期的な薬物の使用:
- 一部の薬剤(例えば非ステロイド性抗炎症薬や特定の抗生物質)は、適切に管理されない場合、腎臓に慢性的なダメージを与える可能性があります。
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栄養不良や不適切な食事:
- 高タンパク、高リン、または不均衡なミネラル含有食は、腎臓に余分な負担をかけることがあります。
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他の慢性疾患:
- 糖尿病や高血圧などの慢性疾患は、腎臓に追加のストレスを与え、時間とともに慢性腎不全を引き起こすことがあります。
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毒物暴露:
- 有毒な植物、抗凍結剤、特定の清掃剤などの毒物に暴露されることで、腎臓が損傷を受けることがあります。
慢性腎不全は、発症するまでに長い時間がかかることが多く、症状が現れたときにはすでに腎臓の機能がかなり低下していることが多いため、早期発見と予防が非常に重要です。定期的な健康診断と、リスクが高い犬種や個体に対する注意深い監視が推奨されます。
犬の慢性腎不全の診断
犬の慢性腎不全の診断は、臨床症状、血液検査、尿検査、および場合によっては画像診断技術を組み合わせて行います。
以下は、慢性腎不全を診断する過程で一般的に行われる方法です:
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臨床症状の評価:
- 獣医師は、食欲不振、多飲多尿(水を大量に飲み、尿量が増える)、体重減少、嘔吐、および疲労感といった慢性腎不全の典型的な症状についてオーナーからの報告を評価します。
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血液検査:
- 血液化学検査により、尿素窒素(BUN)、クレアチニン、リンなどの腎機能指標が測定されます。これらの値が高いと、腎機能障害が示唆されます。
- 電解質のバランス(ナトリウム、カリウムなど)も評価され、腎不全の管理に役立てられます。
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尿検査:
- 尿比重の測定を通じて、腎臓の濃縮能力を評価します。慢性腎不全の場合、尿比重が低下することが一般的です。
- 尿中のタンパク質、グルコース、白血球などの存在も調べられ、腎臓の健康状態に関する追加情報を提供します。
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画像診断:
- 腎臓のサイズ、形、および構造を評価するために、X線や超音波検査が行われることがあります。これにより、腎臓の収縮や石の存在、腫瘍などが明らかになることがあります。
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特殊検査:
- 必要に応じて、血液圧測定や特定のホルモン検査が行われることがあります。
これらの検査を総合して、獣医師は慢性腎不全の診断を行い、適切な治療計画を立てます。症状の進行を遅らせるためには、早期に正確な診断を受けることが重要です。
犬の慢性腎不全の治療法
犬の慢性腎不全の予防
犬の慢性腎不全の予防には、健康管理の基本的なアプローチと特定の予防策が含まれます。以下は、慢性腎不全を予防するための主な方法です:
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バランスの取れた食事:
- 適切な栄養バランスを持つ高品質のドッグフードを提供することが重要です。特にリンやタンパク質の過剰な摂取を避けることで、腎臓にかかる負担を軽減できます。
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十分な水分摂取:
- 常に新鮮で清潔な水を提供し、犬が十分に水分を摂取できるようにします。脱水は腎臓への負担を増加させるため、適切な水分補給は非常に重要です。
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定期的な健康チェック:
- 定期的に獣医師の診察を受けることで、初期の腎機能障害を発見しやすくなります。年に一度の健康診断は、犬の健康状態を維持する上で欠かせません。
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適切な体重の管理:
- 肥満は糖尿病や高血圧など、腎臓病を引き起こすリスク要因になり得ます。適切な運動と食事管理により、犬の体重を健康的な範囲内に保つことが重要です。
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薬物の適切な使用:
- 獣医師の指導のもとでのみ薬を使用し、腎毒性のある薬剤は避けることが望ましいです。不必要なサプリメントや人間用の薬を犬に与えることは避けてください。
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有害な物質からの保護:
- 環境毒素や薬剤、毒性のある植物や食品から犬を遠ざけることも、腎臓への損傷を防ぐのに役立ちます。
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遺伝的要因への対応:
- 腎臓病が遺伝的に多い犬種には、特に注意深いモニタリングと早期介入が必要です。
これらの予防策を適切に実施することで、犬の慢性腎不全のリスクを減少させ、より健康的な生活をサポートすることができます。
犬の腎臓病のステージ
以下では、犬の腎臓病の各ステージについて説明します。
ステージ1
犬の腎臓病ステージ1は、病気の初期段階であり、症状がほとんど見られません。この段階での腎臓病は、通常、偶然の健康診断や他の理由での血液検査で発見されることが多いです。
腎臓の機能はまだほぼ正常であるか、わずかに低下している可能性がありますが、病状が進行する前に早期発見できるため、適切な治療と管理で症状の悪化を遅らせることが可能です。
ステージ1の特徴と対応:
- 血液検査の異常: ステージ1では、血中のクレアチニン値がまだ正常範囲内か、わずかに高い場合があります。通常、クレアチニン値が1.6mg/dL未満であればステージ1と診断されることが多いです。
- 尿検査: 尿比重の低下が見られることがありますが、腎臓が尿を濃縮する能力が低下している可能性を示しています。
- 管理方法: ステージ1の腎臓病の管理には、食事療法が含まれますが、この段階では積極的な食事制限よりも高品質のタンパク質を適量提供することが推奨されます。また、十分な水分摂取を促進し、定期的な健康診断を行うことが重要です。
早期発見と適切な管理が、犬の腎臓病の進行を遅らせるための鍵となります。獣医師と協力して、犬の生活習慣や食事を適切に調整し、定期的なフォローアップを行うことが望ましいです。
ステージ2
ステージ3
ステージ4
犬の腎臓病ステージ4は、慢性腎臓病の最も重度の段階です。このステージでは、腎機能の極度の低下が見られ、症状が非常に重く、治療の焦点は緩和ケアと生活の質の維持に移ります。
ステージ4の特徴:
- クレアチニンレベル: このステージの犬では、クレアチニンレベルが5.0 mg/dL以上と非常に高い数値を示します。
- 症状: 重度の食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少、無気力、高度な脱水状態が見られることが一般的です。犬はほとんど活動することがなく、生活の質が大きく低下します。
ステージ4の管理と治療:
- 緩和ケア: 治療の目的は痛みや不快感を最小限に抑え、愛犬の快適性を保つことに重点を置きます。これには、適切な痛み管理戦略が含まれます。
- 栄養補助: 極端な食欲不振に対処するために、高カロリーの補助食や食欲を刺激する薬が用いられることがあります。
- 水分補給: 脱水を防ぐために、積極的な水分補給が必要です。これは静脈内または皮下での水分補給を含むことがあります。
- 定期的なモニタリングとサポート: 獣医師による密接な監視が必要で、症状の変化に応じた治療の調整が求められます。
ステージ4の段階では、愛犬が苦痛を感じることなく、できるだけ快適に過ごせるよう支援することが非常に重要です。
犬の腎不全に対する食事管理
犬の腎不全に対する食事管理は、病気の進行を緩やかにし、犬の健康と生活の質を維持するために非常に重要なポイントとなります。
どのような食事が腎不全を持つ犬に適しているのか、また、どの栄養素を制限または強化する必要があるのかを詳しく解説していきます。
腎臓病対応のペットフード(療法食)
腎不全の犬には、特別に設計された腎臓病対応のペットフードが適しています。このフードは、低蛋白低リンでありながら、必要な栄養素をバランスよく含んでいます。
さらに、ナトリウムやカリウムの含有量もコントロールされているため、腎臓への負担を軽減します。それぞれの犬の状態に応じて、適切なフードを選ぶことが必要です。さまざまな種類のペットフードが市場に出ているので、獣医師と相談しながら選ぶことが大切です。
食事の量と頻度の調整
犬の腎不全においては、食事の量と頻度の調整が重要です。一度に大量の食事を与えると、腎臓に負担がかかるため、少量ずつ何度かに分けて与えることが推奨されます。
少しずつ与えることで、消化もしやすくなります。また、食事の時間を一定に保つことで、犬の体内のリズムを整えることができます。犬の体重と状態に応じて、食事の量を調整することが必要です。
栄養バランスを考えたメニュー作り
腎不全の犬に対するメニュー作りは、栄養バランスを考えることが最優先です。適量の良質なたんぱく質を含む食品や、ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜を組み合わせることが大切です。
手作りの食事を提供する場合も、獣医師と相談の上で、必要な栄養素をバランスよく取り入れることを心がけてください。市販のペットフードでは補えない場合もあるので、必要に応じてサプリメントを獣医師と相談しながら使うことも検討しましょう。

















