
犬の肝臓病と食事を解説、症状・原因・食べない時の対処法など
愛犬の健康を守るためにも、肝臓病の理解と適切な食事管理は必須です。
本記事では、犬の肝臓病の症状や原因を明らかにし、食べない時の対処法まで解説します。
目次
犬の主な肝臓病とサイン
愛犬の健康にとって肝臓の働きはとても重要です。ここでは、犬の肝臓病に見られる主な症状とサインについてお話しします。
主な犬の肝臓病
肝臓病には様々なタイプがありますが、四つの主要な肝臓病をご紹介します。
肝炎は肝臓の炎症であり、感染症や薬剤反応、免疫性の異常によって発症することがあります。
脂肪肝は特に肥満犬に見られ、不適切な食事が原因で脂肪が肝臓に蓄積する病態です。
先天性の肝臓疾患もあり、門脈シャントなどが挙げられます。これらは遺伝的要素の強い病気です。
最後に、肝臓腫瘍ですが、良性から悪性まで様々なタイプが存在します。これらの病態はそれぞれ特有の進行パターンがあります。
肝臓病のサイン
肝臓病のサインは非常に幅広く、例えば、食欲不振や体重の減少、吐き気や嘔吐といった消化器関連のサインだけではなく、黄疸(皮膚や粘膜の黄色味が強くなる状態)や腹水(お腹に水がたまる状態)、出血傾向(鼻血や血便など)など、明らかな体調不良のサインが出ることもあります。
これらのサインが見られた際には、早急に獣医師の診断を受けることが重要です。肝臓の機能が低下していると、体内での毒素の処理が上手く行かず、行動変化や神経学的な症状を引き起こすこともあります。
肝臓病を引き起こす原因
ここでは、犬が肝臓病になる様々な原因について深く掘り下げていきたいと思います。
遺伝や年齢
犬の肝臓病は、遺伝や年齢も重要な要因となっているケースがあります。例えば、コッカースパニエルやドーベルマンなど、特定の犬種は遺伝的に肝臓疾患を発症しやすい傾向にあります。
また、年齢も肝臓病の発症に大きく影響します。高齢になると、犬の体の多くの機能が衰える中で、肝臓の機能も例外ではありません。老化により肝臓の細胞が徐々に機能を失い、毒素の処理能力が低下するため、肝臓病が発症しやすくなります。
生活環境
生活環境が肝臓病の発症に大きく関わっている場合があります。例えば、運動不足や肥満は犬の肝臓に過度な負担をかけ、病気の要因になりえます。
それに加え、ストレスや化学物質の暴露なども犬の健康を害し、肝機能に影響を与えることが知られています。
肝臓病をサポートする手作り食
愛犬が肝臓病を抱えている場合、食生活の管理はとても重要な役割を果たします。手作り食でどのようなメリットがあるのかお話ししていきます。
酵素を摂らせられる
肝臓の働きを補助するためには、消化酵素の摂取が非常に重要です。手作り食では、野菜や果物など酵素を多く含む食材を選ぶことで、愛犬の消化負担を減らし、肝臓の健康をサポートすることができます。
愛犬の好みや状態に合わせられる
手作り食の大きなメリットは、愛犬の好みや体調に応じて食材や調理方法を変更できる柔軟性にあります。肝臓病の犬は食欲が落ちることが多いですが、彼らの好む味や食感を取り入れることで食事を楽しんでもらうことが可能です。
また、体調が優れない時には消化が良く低脂肪の食材を使い、元気な時には少しタンパク質を増やすなどの調整が行えます。
獣医師のサポートは必要
どんなに手作り食に自信があっても、獣医師のサポートは欠かせません。特に肝臓病という特殊な状況下では、愛犬にとって安全で、かつ必要な栄養が摂れているかを確認するためにも、獣医師の助言を仰ぐことが非常に大切です。
安全かつ効果的な手作り食を提供するためには、専門家の指導を定期的に受けることが望ましいでしょう。
犬の肝臓病におすすめの食材とレシピ
ここからは、肝臓の健康をサポートするためにおすすめの食材と、それらを使用した栄養バランスの取れたレシピについて詳しくご紹介します。
犬の肝臓をサポートする食材
以下に、肝臓の健康をサポートする食材を挙げます:
- 白身魚 – タンパク質が豊富で低脂肪なので、肝臓病を持つ犬に適しています。消化もしやすく、栄養価が高いです。
- 鶏の胸肉 – 皮を除いた鶏の胸肉は低脂肪で高タンパク質、肝臓に優しい食材とされています。
- かぼちゃ – 繊維質が豊富で消化に良いため、肝臓に負担をかけません。また、ビタミンやミネラルも補給できます。
- サツマイモ – 自然な甘みがあり、ビタミンA、C、E、B群といった多くのビタミンを含んでいます。繊維も豊富で健康的です。
- 米やオートミール – 穀物はエネルギー源になり、低脂肪で消化しやすいです。ただし、犬によっては穀物の消化が苦手な場合もあるので注意が必要です。
- ブロッコリー – 抗酸化物質が豊富で、少量から栄養を摂取できるため、肝臓病の犬に適しています。ただし、過剰に与えると消化不良を起こすことがあるため、量を控えめにしてください。
- 卵 – 高品質なタンパク質源であり、特に卵白は低脂肪で肝臓病の犬に適しています。
犬の肝臓病におすすめのレシピ
ここに、肝臓に優しい手作り食のレシピをいくつか紹介します。
1. 鶏胸肉とかぼちゃの煮物
材料:
- 鶏胸肉(皮なし)
- かぼちゃ
- 米
- 人参
- 少量の水
作り方:
- 鶏胸肉は小さくカットして、茹でます。
- かぼちゃと人参を柔らかくなるまで蒸し、ピュレにします。
- 茹でた米、鶏胸肉、野菜のピュレを混ぜ合わせ、少量の水で適度に煮込みます。
2. 白身魚のスチーム
材料:
- 白身魚
- サツマイモ
- ブロッコリー
作り方:
- 白身魚は蒸して、細かくほぐします。
- サツマイモは蒸してマッシュします。
- ブロッコリーは蒸して細かく切ります。
- すべてを混ぜ合わせます。
3. オートミールと卵白
材料:
- オートミール
- 卵白: 1個分
作り方:
- オートミールを柔らかく煮ます。
- 卵白を茹でて細かく切り、オートミールに混ぜます。
4. 鶏肉と野菜のスープ
材料:
- 鶏肉(皮なし、骨なし)
- キャベツ
- 人参
- 小麦粉: 少量
- 水
作り方:
- 鶏肉を小さくカットし、軽く茹でます。
- キャベツと人参を細かく切って、鶏肉と一緒にスープ鍋に入れます。
- 適量の水を加えて煮込みます。
- 煮込んだ後、スープを冷まし、小麦粉を少量加えてとろみをつけます。
これらのレシピは、犬の体調や好みに応じて材料の量を調整し、定期的に獣医師のアドバイスを受けることが重要です。
犬の肝臓病の食事(ドッグフード・手作り)のポイント
ここからは、肝臓に優しいドッグフードの選び方と、手作り食のポイントについて詳しく解説します。
量を減らして回数を増やす
肝臓が病んでいる犬には、食べる量を減らして回数を増やしてあげることが推奨されます。一度に大量の食事を摂取することは、消化吸収の過程で肝臓に大きな負担をかけます。
一日の総カロリーは変えずに、小分けにして数回に分けて食事を与えることで、血糖値の急激な変動を防ぎ、肝臓への負担を減らすことができます。
犬の肝臓をサポートするサプリメント
愛犬の食事にサプリメントを加えることは、不足しがちな栄養素を補う効果的な手段となります。例えば、肝機能をサポートするミルクシスルや、抗酸化作用が期待できるビタミンEを適切な量で組み入れることがおすすめです。
これらの製品を選択する際は、獣医師のアドバイスを受け、愛犬にとって本当に必要なものかどうかを見極めることが大切です。
ビタミンB群を摂る
ビタミンB群は肝臓の代謝機能をサポートするため、積極的に摂取する必要があります。これらのビタミンは水溶性であるため体内に蓄積しないので、日々の食事で摂取することが大切です。
適量のビタミンB群が配合された療法食を選ぶか、または獣医師と相談しサプリメントなどで補う方法が考えられます。
添加物がなく安全なもの
肝臓病の犬にとって安全性は非常に重要です。添加物が含まれた食品は肝臓に余計な負荷をかけるため避けるべきです。
作られるドッグフードや手作り食には、可能な限り自然なものを選択し、化学的な保存料や着色料、香料などの添加物は与えないことを心がけましょう。
水分補給の重要性
愛犬の健康を維持するには、適切な栄養バランスだけでなく、十分な水分補給が欠かせません。
肝臓は体内の解毒や代謝を司る臓器であり、十分な水分がなければこれらの機能が低下してしまいます。したがって、愛犬が常に清潔な水を自由に飲める環境を整えることが大切です。
清潔で新鮮な水を常に飲めるようにしておくことで、体の代謝を促進し、病気の症状の緩和を図ることが期待できるのです。
水分補給のテクニック
水分をしっかり補給できるようにするには、水の入れ物を複数設置して愛犬が飲みやすいようにすること、また食事に水分を含んだウェットタイプのドッグフードを取り入れたりすることが考えられます。
犬の肝臓病における食事ケアの重要性
愛犬の肝臓病に対する理解と適切なケアは症状を緩和し、全体の健康を維持する上で非常に重要です。
肝臓病を持つ犬は、食欲不振、体重減少、黄疸など多様な症状を示すことがあります。これらの症状を軽減し、肝臓の健康をサポートするためには、低タンパクで消化が良い食事の提供、適切な水分補給、そして定期的な健康チェックが必要です。
手作り食や特定の療法食を適切に取り入れることが推奨されます。また、獣医師と連携して犬の体調や好みに合わせた食養生を行うことが大切です。


















