【犬の腎臓病】症状や治療法と予防に適したごはんとおやつ
犬の腎臓病を知り、愛犬に最適なケアを提供しましょう。
この記事では、腎臓病の症状や治療法、予防に役立つ食事やおやつの選び方について詳しく解説します。
腎臓病の早期発見が重要な理由、治療費や食事療法の具体例もご紹介します。
犬の腎臓病とは

犬の腎臓病とは、腎臓の機能が低下し、老廃物を効果的に排出できなくなる病気のことです。初期症状はわかりにくく、発見が遅れることが多いです。そのため、定期的な健康チェックが重要になります。特に高齢犬や特定の犬種はリスクが高いため、注意が必要です。
腎臓病の症状
犬の腎臓病には急性腎障害(急性腎不全)と慢性腎臓病(慢性腎不全)の2つのタイプがあり、それぞれ異なる症状を示します。
急性腎障害(急性腎不全)の一般的な症状
急性腎障害は突然発症し、迅速な治療が必要です。
一般的な症状は以下の通りです:
- 食欲不振: 犬が食べることを拒む
- 嘔吐: 食べ物や胃液を吐く
- 下痢: 水様便
- 無気力: 活動性の低下、元気がない
- 脱水: 皮膚が乾燥し、弾力性が失われる
- 口臭: アンモニア臭がすることがある
- 頻尿または無尿: 尿の量が急激に増える、または全く出なくなる
- 痛み: 腹部を触ると痛がる
慢性腎臓病(慢性腎不全)の一般的な症状
慢性腎臓病はゆっくりと進行し、時間をかけて悪化します。
一般的な症状は以下の通りです:
- 食欲減退: 食事の摂取量が減る
- 体重減少: 緩やかに体重が減っていく
- 多飲多尿: 水をたくさん飲み、尿の量が増える
- 嘔吐: 時折嘔吐することがある
- 口臭: 特有のアンモニア臭がすることがある
- 無気力: 活動性の低下、遊ぶ意欲がない
- 被毛の質の低下: 毛がパサつく、抜け毛が増える
- 貧血: 歯茎や目の粘膜が白っぽくなる
- 高血圧: 血圧が高くなることがある
どちらのタイプの腎臓病でも、早期発見と適切な治療が重要です。愛犬にこれらの症状が見られた場合は、すぐに獣医師の診察を受けることをお勧めします。
早期発見のために
早期発見のためのサインとして、初期には元気の低下や食欲の減少が挙げられます。これらのサインは、一見ささいな変化に見えますが、放置すると症状が進行してしまいます。
また、頻繁に水を飲むようになることやトイレの回数が増えることも見落としがちなサインです。これらの変化に気づくためには、日常の行動をよく観察することが必要です。定期的な健康診断も継続して行うことが望ましいです。
犬の腎臓病の診断方法
犬の腎臓病を診断するためには、獣医師がいくつかの検査を行います。これらの検査は犬の腎機能の状態を評価し、腎臓病の原因を特定するのに役立ちます。
以下は一般的な診断手順です:
1. 臨床症状の評価
- 獣医師は犬の健康履歴を詳しく聞き取り、腎臓病に関連する症状(食欲不振、嘔吐、無気力など)について詳細を確認します。
2. 身体検査
- 身体検査を通じて、腎臓の大きさや痛みの有無、脱水状態、血圧の測定などを行います。
3. 血液検査
- BUN(血中尿素窒素)とクレアチニンのレベルを測定して腎機能の低下を確認します。
- 完全血球数(CBC)で貧血の有無を確認します。
- 電解質のバランスと酸塩基状態の評価も行われます。
4. 尿検査
- 尿比重(尿がどれだけ濃縮されているか)とタンパク質の存在を調べます。腎臓が正常に機能していない場合、尿比重が低くなり、尿中にタンパク質が見られることがあります。
5. 超音波検査
- 腎臓の大きさ、形状、組織の均一性を視覚的に評価し、腎臓内の異常(結石、腫瘍など)を探します。
6. X線検査
- 腎臓の大きさや形、周囲の組織との関係を確認し、他の病状が腎臓に影響を与えていないか調べます。
7. 腎生検
- これは他の検査で原因が明確にならない場合に考慮されることがあります。腎臓の小さな組織サンプルを採取して、顕微鏡で検査を行います。
これらの検査を通じて、獣医師は犬の腎臓病のタイプ、進行度、および適切な治療方針を決定することができます。
気を付けるべき犬種と特徴
腎臓病に気を付けるべき犬種には、柴犬やダルメシアンが含まれます。これらの犬種は遺伝的に腎臓の病気を持ちやすい傾向があります。また、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルやプードルも腎疾患のリスクが高いです。
これらの犬種は特に注意深く観察し、定期的な健康診断を行うことが大切です。遺伝的な要因に加えて、年齢もリスク要素となります。高齢犬になると腎臓の機能が低下しやすくなるため、特に7歳以上の犬には注意が必要です。
犬の腎臓病の治療法

腎臓病は、早期発見と適切な治療が求められる疾患です。治療法にはいくつかの選択肢があり、病気の進行度や個々の患者の状態によって最適な方法が異なります。
一般的には、投薬、食事療法やサプリメント、再生医療などが治療法として挙げられます。また、犬に発症した場合の治療費も重要な検討項目となります。以下では、それぞれの治療法について詳しく説明します。
投薬
犬の腎臓病の治療は、病状の進行度や潜在的な原因に基づいて様々ですが、投薬治療は一般的なアプローチの一つです。
以下に、腎臓病治療における主な薬剤の種類とその目的を示します:
1. 血圧降下薬
- 腎臓病の犬は高血圧を患うことが多く、これが腎臓の損傷をさらに進行させる原因となります。ACE阻害薬(例: ベナゼプリル、エナラプリル)は血圧を下げるのに使用され、腎臓への負担を軽減します。
2. 利尿剤
- 腎機能が低下すると体内に余分な水分が溜まりがちです。フロセミドのような利尿剤は、余分な水分を排出し、浮腫やうっ血性心不全のリスクを管理するのに役立ちます。
3. リン結合薬
- 腎臓病の犬は血中のリンのレベルが上昇することがあり、これが腎臓病の進行を加速させる原因となります。リン結合薬(例: セベラマー、ランスフォス)は食事からのリンの吸収を抑えることで、そのレベルを管理します。
4. エリスロポエチン
- 腎臓病による貧血治療には合成エリスロポエチンが使われることがあります。これは赤血球の産生を刺激し、貧血の症状を改善します。
5. 胃腸保護薬
- 腎臓病はしばしば胃腸の問題を引き起こします。制酸剤や胃腸保護薬(例: ラニチジン、オメプラゾール)は胃腸の不快感を軽減し、食欲不振や嘔吐を管理します。
6. 抗吐き薬
- 腎臓病の犬は吐き気を感じやすいです。メトクロプラミドやオンダンセトロンなどの抗吐き薬が使われ、吐き気や嘔吐を抑制します。
7. カリウム補充剤
- 一部の腎臓病の犬は低カリウム血症を経験することがあり、これにはカリウムの補充が必要になります。
8. 抗生物質
- 腎臓の感染を治療するために抗生物質が処方されることがあります。
これらの治療は症状の管理に役立つものの、腎臓病そのものを治癒するものではありません。適切な治療プランのためには定期的なモニタリングと調整が必要とされます。
食事療法・サプリメント
犬の腎臓病における食事療法は、病気の進行を遅らせ、症状を管理する重要な手段です。腎臓に負担をかけない低タンパク質、低リン、低ナトリウムの特別な処方食を提供することが一般的です。これにより、腎臓にかかるストレスが軽減され、体内での毒素の蓄積が抑えられます。
また、腎機能のサポートを目的としたサプリメントも役立ちます。例えば、B群ビタミンやオメガ3脂肪酸、ポタシウムサプリメントが用いられることがあります。これらは腎臓の健康を支えるだけでなく、腎臓病による炎症を軽減し、栄養状態の改善を助けることが期待されます。
獣医師の指導の下で、適切な食事プランとサプリメントの使用を進めることが重要です。獣医師は犬の健康状態に合わせた最適な食事療法を提案し、必要に応じて調整を加えます。
再生医療
犬の腎臓病の治療において、再生医療はまだ研究段階のアプローチの一つですが、その可能性は注目されています。再生医療は、主に幹細胞を用いた治療法であり、病気や損傷した組織の修復や再生を促進することを目的としています。
幹細胞治療
幹細胞治療では、特に間葉系幹細胞が使用されることが多いです。これらの幹細胞は、体内で損傷した腎臓組織の修復を助ける可能性があり、腎臓の機能を改善することが期待されています。幹細胞は犬自身の体から採取することもできるため、拒絶反応のリスクが低く、安全性が高いとされています。
治療の進展
獣医学分野においては、まだ幹細胞治療は完全に確立されているわけではありませんが、初期の臨床試験では一定の成功が報告されています。治療は腎臓の病理を直接的に改善する可能性があり、炎症を減少させ、組織の修復を促進することで、腎臓病の進行を遅らせる効果が見込まれます。
結論
再生医療は犬の腎臓病に対して非常に有望な治療法と考えられていますが、実際の臨床応用にはさらなる研究と試験が必要です。獣医師との密接な協力のもとで、個々の犬に最適な治療選択を行うことが重要です。
再生医療が広く利用可能になる前には、既存の治療法(投薬、食事療法など)と組み合わせて総合的な治療計画を立てることが推奨されます。
犬の腎臓病の治療費例
犬に腎臓病が発症した場合、その治療費も大きな問題となります。一般的な治療法としては、投薬や食事療法があり、それぞれに費用がかかります。
例えば、投薬にかかる費用は月々数千円から数万円になることがあります。また、食事療法に特化した特別なフードも高価なものになる可能性もあります。
さらに、定期的な血液検査や尿検査も必要であり、これらの検査費用も加算されます。再生医療などの最先端治療はさらに高額になることが予想されます。
食事とおやつで犬の腎臓病予防

犬の腎臓病予防には、適切な食事管理が非常に重要です。主食としてのごはんに加え、おやつ選びにも注意が必要です。以下にいくつかのポイントを紹介します。
主食(ごはん)のポイント
- 低タンパク質: 腎臓の負担を減らすため、タンパク質の量を控えめにする。
- 低リン、低ナトリウム: 腎機能の悪化を防ぐため、リンやナトリウムの少ない食材を選ぶ。
- 高品質のタンパク質: 必要なタンパク質は、消化吸収が良く、質の高いものを選ぶ。
- 水分補給を促す: 腎臓の健康を支えるためには十分な水分補給が必要。ウェットフードの利用や水を追加するなどして、水分摂取を促す。
おやつの選び方
- 低タンパク、低ナトリウム、低リン: おやつもごはんと同様にこれらの成分が少ないものを選ぶ。
- 野菜や果物を活用: キュウリやリンゴなど、安全な野菜や果物を少量与えることで、バリエーションを持たせながら健康をサポートできる。
- 市販のおやつ選び: 市販されているおやつの中から、腎臓ケア用の商品を選ぶのも一つの手。成分表示を確認して、適切なものを選びましょう。
犬の食事は、その犬の年齢、健康状態、特有のニーズに合わせて選ぶことが重要です。腎臓病のリスクがある場合や既に腎機能に問題が見られる場合は、獣医師と相談して専用の食事プランを立てることが望ましいです。
水分補給の重要性
犬の腎臓病予防における水分補給の重要性は非常に大きいです。適切な水分摂取は、腎臓の機能のために必要不可欠です。以下に、水分補給の重要性と方法について説明します。
- 老廃物の排出: 十分な水分摂取は、腎臓が血液をろ過し、尿を生成する過程で老廃物や毒素を効率よく体外に排出するのを助けます。
- 尿路系の健康維持: たくさんの水を飲むことで尿量が増え、尿路系の病気(例えば、尿路結石症)のリスクが減少します。
- 腎臓病の進行を遅らせる: 適切な水分補給は、腎臓病の進行を遅らせる可能性があります。腎臓にかかるストレスを減らし、機能の保持に寄与します。
水分補給の方法
- 常に清潔な水を提供: 犬がいつでも水を飲めるように、常に清潔で新鮮な水を用意しておくことが重要です。
- ウェットフードの利用: ドライフードのみよりもウェットフードを取り入れることで、犬の水分摂取量を増やすことができます。
- 水を足したフード: ドライフードに水や低ナトリウムのスープを加えることで、食事から追加の水分を摂取させることが可能です。
- おやつで水分補給: 冷凍した果物や野菜(例:スイカ、キュウリ)は、楽しみながら水分補給ができる良い方法です。
特に暑い季節や運動後は、水分補給を積極的に促してください。また、犬が十分な水を飲んでいない場合は、獣医師と相談し、水分摂取を促す他の方法を探ることが推奨されます。
療法食を食べない時
犬の食欲を刺激するためには、様々な工夫があります。特に療法食を食べたがらない犬に対して、以下の方法を試すことが効果的です。
1. 食事の温度調整
- 温かい食事: 食事を少し温めることで、香りが増し、食べやすくなります。ただし、犬の口に合わせて適温に調整することが重要です。熱すぎると火傷の恐れがあるため、温めた後は十分に冷ましてください。
2. 食事の見た目と香りの工夫
- 食材を刻むまたは混ぜる: 犬が好む食材(例えば、鶏肉やビーフの少量)を療法食に混ぜることで、興味を引きやすくなります。ただし、獣医師の指導のもとで安全な食材を使用してください。
- 香りを強化: 食事に少量の魚油やかつおぶし、犬用のブイヨンを加えることで、香りを強化し、食欲を刺激することができます。
3. 食事の提供方法
- 小分けにして頻繁に提供: 大量の食事を一度に提供すると圧倒されることがあります。小分けにして数回に分けて提供することで、食べやすくなります。
- 食事の時間を短くする: 長時間食べ物が出されていると、食事が新鮮でなくなり、食欲が落ちることがあります。食事の時間を限定して、食べることに集中させる助けとなります。
4. 食事環境の整備
- 静かで落ち着いた環境での食事: 犬が食事をする場所を静かでストレスのない環境に設定することで、リラックスして食べやすくなります。
- 食器の見直し: 食器が犬にとって食べづらい形状のものだと食事を敬遠することがあります。食べやすい形の食器を選ぶことも一つの方法です。
これらの工夫は、犬の個体差や好みによって効果が異なるため、試行錯誤しながら最適な方法を見つけることが大切です。また、これらの工夫を行う際は必ず獣医師と相談し、犬の健康状態に合わせた適切な対応を取るようにしてください。
犬の腎臓病のステージ

犬の慢性腎臓病はIRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)によるステージ分類で管理されます。以下は各ステージの特徴です:
ステージ1:
- 腎臓の機能は正常ですが、腎臓に何らかの障害が存在する可能性があります。
- 症状は通常見られませんが、尿検査での蛋白尿や血液検査での微細な異常がある場合があります。
ステージ2:
- 腎臓の機能低下が始まり、軽度の多飲多尿(水を多く飲む、尿の量が増える)が見られます。
- 血液検査でクレアチニンの上昇が見られますが、犬はまだ元気で食欲もあります。
ステージ3:
- 腎臓の機能が顕著に低下し、尿毒症状(口内炎、食欲不振、嘔吐など)が見られます。
- クレアチニンと尿素窒素(BUN)の数値が高く、治療と管理がより積極的に必要になります。
ステージ4:
- 重篤な腎臓機能障害があり、生命を脅かす可能性があります。
- 強い尿毒症症状が見られ、積極的な治療や管理が生命を維持するために不可欠です。
これらのステージを理解することは、症状の管理と適切な治療方針を決定する上で非常に重要です。
愛犬の腎臓病を見逃さないために
犬の腎臓病はその発見が遅れがちですが、愛犬の健康を守るためには早期発見が鍵となります。腎臓病の初期段階では症状が明確ではないため、定期的な健康チェックが非常に重要です。特に高齢の犬やリスクが高い犬種の場合は、注意深く観察し、早めに獣医師の診断を受けることをお勧めします。適切な治療と食事管理は病状の進行を遅らせることができ、愛犬の生活の質を大いに改善します。愛犬の健康は飼い主の手にかかっているため、日頃からのケアが非常に重要です。