グレート・ピレニーズ

グレート・ピレニーズ

写真:Wikimedia Commons

グレート・ピレニーズ

犬種の特徴

グレード・ピレニーズは、骨量でがっしりとした、とても堂々とした体型の犬種です。体高と体長がほぼ同じですが、雄が雌よりやや体長が長いです。骨太でほどよく筋肉のついた大型の犬種で、厚い被毛に覆われているので、実際の体型よりも大きく感じられます。
山中の岩場で作業犬として働いていたため、後脚には、大きなゴツゴツしたオオカミ爪があります。

ホワイト一色の羊毛のように密集した下毛と、平らで硬く長い上毛の二層構造の被毛に覆われています。

能力が高く、威風堂々とした番犬として最適な気質を持っています。家族に忠誠を尽くし、知らない人や他の犬に対して警戒心を怠りません。

この犬の歴史

ピレニアン・マウンテン・ドッグという名前でも知られているグレート・ピレニーズの歴史は大変古く、祖先犬ではないかと考えられているチベタン・マスティフが、航海又は遊牧民の移動によってスペインに渡ったと考えられています。
ヨーロッパには大型の白い犬が全土に普及しており、グレート・ピレニーズはイタリアのマレンマ、ハンガリーのクーパースの影響があるようです。

古くは、スペインのピレネー山脈やその他のヨーロッパの山岳地で飼われるようになりました。当初からこの犬種は、羊などの家畜の群れを守る番犬として使われていたようです。当時の壁画の中には、家畜を襲ってくる害獣や盗賊などに喉元を攻撃されないように、鉄のトゲがついた首輪をつけた2匹のグレート・ピレニーズの姿が描かれています。

初期のグレート・ピレニーズが移住者とともにカナダに渡り、同じくイギリスの移住者が連れて来た黒のリトリーバ種と交配されニューファンドランドやランドシーアを産みました。
15世紀頃には、フランスの城館でグレート・ピレニーズが警備犬として使用されていた記録があり、大きな城館では多数のグレート・ピレニーズを飼育するのが普通でした。

17世紀後半、グレート・ピレニーズはフランスのある貴族の目に留まり、ルイ14世の時代に宮廷に入ると、フランス社交界で一躍有名になり、白く優雅な風貌とゆったりとした動作が貴族の間でも人気になりました。その後、ルイ14世によって「フランス王室犬」に定められることになりました。

ちょうどその頃、また1824年には、グレート・ピレニーズが、ラファイエット将軍によってアメリカに持ち込まれたという初めての記述が確認されています。

ピレネーの山岳地域で野生の害獣が減少するにつれ、グレート・ピレニーズの数も減少しました。さらに海外での人気が高まり、原産国からの流出が盛んとなって、絶滅を寸前にした事もあります。
グレート・ピレニーズは家庭犬、観賞犬としての人気が高まり、ペットとしての扱い易さや容姿が重視され、純白の被毛色が好まれる時期が続いたため小型化し、この犬本来の資質が失われたと指摘されました。

イギリス国内においても、グレート・ピレニーズへの関心はどんどん薄れていきましたが、幸運なことに、一部の山岳地帯では、質のよい血統を受けついだ犬種が生き残っていました。その後、愛好家たちは、これらのすばらしい血統の犬たちをもとにこの犬種を発達させ、現在のグレート・ピレニーズの基盤が築かれることになりました。

1930年代、グレート・ピレニーズは大々的にアメリカに持ち込まれ、1933年にはAKCに承認されて人々から注目を集めるようになり、現在でもその人気を維持しています。

かかりやすい病気

気をつけたい病気 股関節形成不全、膝蓋骨脱臼
予防として股関節検査・膝関節検査をしておくことをおすすめします。
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獣医師・宿南章獣医師

投稿者プロフィール
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
   
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
   
【所属団体】 The Royal Society for the Protection of Birds 会員

日本盲導犬協会 会員

野生動物救護獣医師協会 正会員
   
【プロフィール】 1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。

日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。

   
【研修・研究内容】 1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習

1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習

1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)

1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)

1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)

2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修
   
【論文】 Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004
   
【著書】 「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。

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