愛犬の皮膚病

<愛犬の皮膚病>

愛犬がかゆみに苦しむ姿はとてもかわいそうです!!
獣医師もなんとかしたいと願っていますが、皮膚病はとても難しい疾患です。すぐにかゆみ(痒み、カユミ)を取り除く薬を使えば、その時は奇跡のように治ります。しかし、その薬を使い続けると、強い副作用が現れます。

まれに獣医師への誤解がネット上にかかれています。皮膚がかゆいですと連れて行ったのに、原因は説明されずに、注射をうって、「様子を見ましょう」ですって!!
確かに、飼主さんには意味不明な、そっけない、無責任な対応に見えます、ネ。私もそう思います。一般社会の社交的な会話と真逆と思います。

ですが、獣医師の頭の中をノゾくと、ちょっと違った世界が見えてきます。
実は、このときに、獣医師は、頭がフル回転しています。

会話がそっけなくなるほど考えているのです。

薬の使用と、それに伴う副作用をいかに抑えるか、この疾患の本質はなになのか?検査をすれば分かりますが、すべての検査を行えば、検査だけで何十万もの検査料が必要となります。

その負担をかけないために、可能性の低い原因検査で金銭的な負担をかけるより、症状の経過をみて判断すれば、費用を抑えて病気の原因を絞り込むことができるだろう。

いまは、かゆみと皮膚炎で苦しんでいる症状を抑え、その後の経過から費用をあまり飼主さんに負担をかけずに、対応できるよう考えよう。このように考えています。

ペットの検査はすべて全額負担となりますので、人と同じように、すべて必要と考えられる検査をすると検査だけで莫大な金額となります。

そのために、いろいろな原因が考えられる中で、効果 と 費用の低減を考えている様子が、理解不能な獣医の無愛想な態度に見えたりします。実際に本当に無愛想な獣医師はいるかと思います。(笑)

ですが、多くの獣医師は、このような費用と診断治癒という複雑で難しい状況のなかで苦闘しながら判断しているのです。
みなさまは、そんな獣医さんに出会われた経験は、あるでしょうか?

食事アレルギー性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、ヒゼンダニ症、アトピー、ノミアレルギー、ブドウ球菌性皮膚炎、ラブジチス皮膚炎、天疱瘡(てんぽうそう 落葉性 紅斑性)、細菌性毛包炎、肢端掻痒性結節(舐性肉芽腫)、毛包虫、膿皮症、真菌症(リングワーム)、脂漏症、薬疹、スポロトリクム症、結節性脂肪組織炎

 かゆみだけで、最低でも、これだけの疾患が獣医の頭の中に浮かんでいますこれに、脱毛や、色素沈着した場合には、まったく違う病気がさらに同じぐらい付け加えられ、さまざまな疾患を疑います。
それぞれの病気のポイントである
・発生する年齢や季節や状況
・症状の違い
・身体のどこの症状がひどいか
・それに必要な検査はなにか
を考えています。
でも、獣医師は職人肌の人が多く、まじめに知的に考え、その過程で、飼主さんとの間に予想もしないコミュニケーション・トラブルが発生じているわけです(∩_∩)//

専門的なことは獣医さんにまかされるといいでしょう。

しかし、一方で、皮膚病は難しい病気であることが多いので、飼主さまが愛犬のためにできることは積極的に取り組んでいただくのが良いと思います。

シャンプーの仕方ひとつで、皮膚炎やかゆみの発生はとても少なくすることができますし、かゆがった時には、温度と湿度を下げると、大変にかゆみや炎症を抑える効果があります。
ちょっとしたコツを知っておくだけで、お薬と同等かそれ以上のコツがあるということです。

同様に、獣医さんでどうしてもコントロールできない皮膚病は、食べ物が関係していることが多いです。

病気はひとつの原因だけで起きるのでなくて、たくさんの原因(理由)が重なって起きることが多いと思います。(「マルチファクター」といいます)

たとえば、風邪などでも、元気で、睡眠も十分とれているときはかからなくても、ストレスが多く不十分な睡眠が続くとかかりやすくなるのとおなじです。

でも、病院では、風邪を起こしたウイルスや病原菌だけが原因として扱われますネ。ですが、健康であれば、それにはかからなかった可能性が高いのです。

もし、そうであったとしたら、風邪の原因は、ウイルスや病原菌なのでしょうか? それとも、限界を超えた日常生活が原因なのでしょうか?
両方ですね。
どちらかがなければ、もしかかったとしても症状はとても軽かったのです。
このことを理解していただくと、ご家庭でもできることがたくさんあることが分かります。先ほどの風邪を例にとれば、獣医さんにはウイルスや病原菌への治療をお願いし、各ご家庭では睡眠やストレス解消などへの取り組みができますね。
皮膚病も同じで、動物病院では、一方の原因の治療をお願いし、ご家庭ではできる改善に取り組んでいただくのが良いだろうと考えます。
また、たとえ、病名がアレルギーや、食べ物でなくても、一度、それらを疑って除去食をされることは、すべての皮膚病に役立つ可能性があります。
私が知る限りでは、愛犬の健康に食事は決定的な重要性を持つと感じています。

そのような話しはどうでもいいのですが、食事がどれぐらいのマイナス要因になっているかどうかは、下記の食事を1か月続けていただくと、わかる場合が多いです。
「獣医手作り食」をご紹介いたします。

<獣医 手作り食>

さて、試していただきたいのが、簡易な「獣医手作り食」です。

簡易手作り食は、とても簡単で、肉4:ご飯6の食事を3週間与えて、皮膚炎や外耳炎などの症状が治まるかみるという方法です。
歯の場合は、歯の表面のヌメヌメ(細菌の層となったものです)が、増えるか、減るか確認してみてください。

簡易な獣医手作り食を試していただく理由は、ほぼ食事からの原因を取り除いたときに、皮膚炎、指間炎、外耳炎、膿皮症などの症状が改善するか確認いただくためです。
とてもシンプルで、野菜も使用しません。

ここでは、日本で平均的な体重(4㎏)の成犬の「手作り食」をご紹介いたします。

<ビーフライス 4kg成犬1日量>

<材料>
牛肉  80g
ごはん 130g
ラード 15ml(大さじ1杯)
煎り糠  5ml(小さじ1杯)
食塩  少々
<作り方>
油で肉を炒めた後、ご飯に肉からしみだした汁や油ごとかけて
与えます。
調理法は、グリルでもボイルでもかまいません。
これはチキンライスでも同じです。

<注意点>

塩を少量入れるのは、精肉は血抜きしてあるからです。塩加減はお味噌汁の1/3程度の味付けを目安にしてください。

犬には牛肉または鶏肉で40%の肉と、50%の穀類、その他10%(油、煎り糠、塩分)が必要な割合(目安)です。
ドッグフード(ドライ)は水分がないですので、手作り食は通常のドッグフードの2.5倍の量を作ることが必要です。スープやだし汁を使用する場合には、スープやだし汁などの重量は手作り食の重さに含めずに計算してください。

長期的に手作り食を与えると、どうしてもビタミンとミネラルが不足しますので、試用期間は1か月です。

毎日作ったものを、パックに入れて、1日2~4回に分けて与えられるといいでしょう。

この間、おやつ、ガム、ジャーキーなどは与えないようにします。おやつを与えたい場合は、牛肉や鶏肉をボイルしたものをおやつ代わりにこの期間は与えてください。

この食事に変えられて、もし皮膚病が少しでも良くなってきたら、食事も影響しているということがわかる訳です。

皮膚用の手作り食は、めんどう(しかもビタミン・ミネラルが欠乏しやすい)ので、それがご面倒な方や、ビタミンの不足や栄養バランスの乱れが心配で長期使用されたいかたは、こちらをご使用いただくと大変ラクと思います。
獣医師が開発した 皮膚用手作りドッグフード(食事療法食)
http://www.shukunami-vet.jp/treatment/skin-f.html

このように難しいといえる皮膚疾患に対しても、シャンプーの仕方、温度湿度の管理、食事のチェックなどいろいろなことが実行できます。

愛犬の皮膚疾患はとても多く、かつ見るに耐えられないかわいそうな病気です。
・皮膚アレルギー(アレルギー性皮膚疾患)
・かゆみ
・皮膚炎
・アトピー
・膿皮症
・脱毛
・食べ物アレルギー
と、たくさんあります。
あきらめるより、行動して解決策を探してゆきましょう!!
改善の可能性のあることを試してゆきましょう。

まずは、今日から一番行いやすいカンタンなことから始めましょう!!
そのような行動から改善への希望が見つかると信じています。
応援しています。

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獣医師・宿南章獣医師

投稿者プロフィール
【文責】 獣医師・宿南 章(しゅくなみ あきら)
   
【資格】 獣医師免許(1993年取得)
   
【所属団体】 The Royal Society for the Protection of Birds 会員

日本盲導犬協会 会員

野生動物救護獣医師協会 正会員
   
【プロフィール】 1969年生まれ 兵庫県養父(やぶ)市出身。

日本大学農獣医学部(現日本大学生物資源科学部)獣医学科卒業。 獣医師。
横浜で犬猫の動物病院に勤務。その後、米国のCAM( Complementary and Alternative Medicine )を日本に導入している 研究所に移籍。北海道の農協の依頼を受け、牛のサルモネラダブリン症の治療を行い、当時抗生物質も効かない病気を治癒させるなど、数多くの治療実績を持つ。
その後、予防医学に特化した自然療法動物病院を設立し現在に至る。

   
【研修・研究内容】 1983年…アメリカ ウィスコンシン州、400エーカーの酪農家で住み込み実習

1985年…北海道 中標津 200頭飼育の酪農家で住み込み実習

1988年…獣医薬理学研究室にて薬草の薬理作用の研究(3年間)

1993年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(1回目)

1994年…アメリカ カリフォルニア州 医療研修(2回目)

2006年…オーストラリア メルボルン イアンゴウラー財団でガン医療研修
   
【論文】 Efficacy determination test for the Vibrational therapy in case of the skin ulcer induced on mice A.SHUKUNAMI Eastern Medicine 2004
   
【著書】 「薬いらずで愛犬の病気は治る」WAVE出版 は、17部門で1位を獲得するベストセラーとなり高い評価を得ている。

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